母親へ

母親へ

僕は、あなたに感謝なんかしてません。
あなたは腹を痛めて、俺を産んでくれた。
俺をとりあえずは大人になるまでは育ててくれた。

それでも僕は、あなたに感謝なんかしてません。
お菓子を買ってくれたり、
お出かけに連れて行ってくれたり
いつも作ってくれる料理は美味しかったし
学校にも行かせてくれて、部活もさせてくれました。

仕事で病んでいる時に、あなたに電話をかけました。
あなたの声を聞いて、
妹の就職と親父の転職が決まった報告をされました。
何故だか涙が出ました。

それでもあなたに感謝できないのは
僕は、あなたのことが嫌いだからです。
「してくれたこと」も多かったけど
「されたこと」も多かったからです

あなたに「されたこと」
言葉遣いが雑なあなたに
物を投げられました。怒鳴られました。叩かれました。
不機嫌になるとあなたは物に当たりました。
お父さんとよく喧嘩もしました。
酔っ払ってリビングで寝込んだりしました。
おばあちゃんの介護のことで、
よく愚痴をこぼしてました。

僕があなたの思うような子に育たなかった理由
簡単です。

あなたのせいです。

生まれて来なければ良かったと、
数え切れないくらい思いました。

なんで、僕はあなたを
泣かせてしまったり、怒らせたりしてしまうのか
僕にもわかりません。
それなのに、あなたに対する
謝罪の気持ちがありません。

あなたに「いい息子」だと褒められるより
可愛い女の子と一緒に寝てる方が
よっぽどいいです。

だから、僕はこの先も、きっと
あなたに感謝できません。
ごめんなさい。

母親へ

母親へ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-20

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted