動物の倫理

しめさば

こことここをつないだら
大切なものが手からボロボロこぼれていった
水面を刺してちらばっていく
ゆっくりになるほど頭は冴えていく

写し鏡の向こう側で必死にかき集める顔が見える
制御室はしんとしていた
沈んだ骨の中はあたたかい
お母さんのにおい
たくさんのいのちと一緒に見守った
もうそれしかできることはない

頬をそっと掠めていく
白化した歯や爪
粒子が抜けた微細な穴が
僅かに光を通して屈折させる
チカチカと眩しくて
思わず目を瞑りたくなる

動物の倫理

動物の倫理

「寿夭迷いて笑え笑え」より 2019年

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-11-20

CC BY-NC-ND
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