星の海で眠ろう

 深い夜のなかに、きみはいて、ひそやかな呼吸を、くりかえしている。ぼくらにはきこえない、惑星のささやきみたいに。
 せんせいは、月をつかむまねをして、わらう。じっさいにつかんでいる、くうきは、ひんやりしているよ、冬のせいかな。せんせいは、恐竜が滅んだのも、ぼくを好きになったのも、神さまのせいにして、わらってる。
 星空の天蓋。
 だれかを好きになったとき、すこしばかりこころが狂うのは、しかたのないことで、たとえば、いいかたはわるいけれど、精密にできたロボットのなかに、不純物がはいりこんだみたいな感覚に、にていると思う。そう思っているぼくを、せんせいは、なげかわしい、という。せんせいの、ひふは、いつも、つめたくて、冬のみずうみのようだ。
 踏切の音が、騒々しいので、耳をふさいで、目を、せんせいの手に、かくされて、せかいと一時的に、遮断されたとき、みえた、深海を想わせる、夜の海で、きみが、からだをまるめて、ゆらゆらと、ただよっていた。

星の海で眠ろう

星の海で眠ろう

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-18

CC BY-NC-ND
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