先生、お願いします!(百合ver.) (0:2)
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「先生、お願いします!」(百合バージョン)
◇キャスト
杉本先生・・・「眠い」「だるい」「めんどくさい」が口癖の高校教師。仕事をしているのを見たことがないと言われているが、超美人なので男性には人気。
野口さん・・・高校2年生。真面目な優等生。まっすぐな性格。
所要時間:20分~25分くらい
※こちらの台本は、BL台本「先生、時間です!」を性別を変えて書き換えたものです。
身内での使用を目的としたもので、
多少の矛盾点や違和感は大目に見てくださる方のみご利用ください。
◇◇◇
野口:先生、お願いします!
杉本:え? 何が? ……ああ、ねむ。
野口:え、聞いてなかったんですか? 私の話全部?
杉本:だって面白くなさそうだし。……うーん、次の授業まで時間あるなぁ、仮眠しようかな。
野口:いや待ってくださいよ! 寝ないでください!
杉本:野口さんはもうすぐ昼休み終わりでしょ。教室戻りなさい。
野口:嫌です! 先生が「うん」と言ってくれるまで帰りません!
杉本:えーめんどくさいー。なんかすごくめんどくさい匂いしかしなーい。
野口:改めて、先生、お願いします! バスケ部の顧問になってください!
杉本:やだ。
野口:どうして?
杉本:え? めんどくさいから? 逆になんで私? 運動神経よさそうだから?
野口:全然違います。寝ているイメージしかないです。しかたないでしょう! 他の先生はすでに他の部活の顧問とか、産休前とか、ご家族の介護があるとか……暇なの杉本先生だけなんです!
杉本:え、今暇っていった? 暇っていったよね、野口さん。
野口:あ、すみません! えっとその……お時間に余裕があるのは、杉本先生だけなんです。だから、お願いします。顧問になってください。でないと、バスケ部が廃部になってしまうんです。
杉本:えーいいじゃん別に。バレー部かテニス部にでも入ればいいじゃん。バスケじゃ絶対食っていけないけど、テニスとかならワンチャンあるよ?
野口:そんな! 私たちはバスケがやりたいんです!
杉本:気のせい気のせい。他のスポーツでも球を使って体動かすことに変わりないし、やってるうちにハマるって。大丈夫大丈夫。
野口:そんなことありません! バスケを侮辱するのは先生でも許しません!
杉本:おっけーおっけー! 許せない先生に、顧問をお願いするのはよくないよね、うん。じゃ、私は寝るから。
野口:だからそれは困るんですって! 起きてください!
杉本:やだーねむいー! なんでそんなにバスケにこだわるのー?
野口:理由なんてありません! バスケが好きなんです! でも、この学校には女子バスケ部がなくて……やっと部員を集めたんです! あと顧問の先生だけなんです!
杉本:あっそ、がんばるねー。いや、がんばるのはいいよ、がんばるのは。でも私を巻き込まないでくれるかなー? 私はめんどくさいことが何よりも嫌いなの。面倒な事と、やりたくない事は人に押し付けるって決めてるの。
野口:……教師として最低の台詞を胸張って言わないでくさい。「バスケがしたい」っていう私たちの思いをどうしてわかってくれないんですか?
杉本:野口さんこそ「サボりたい」という私の気持ちをどうしてわかってくれないかなー?
野口:わかるわけないでしょ。それでも教師ですか?
杉本:うーん、教員免許あるしここで働いてるから、一応そうじゃない? ああ、眠い。ねぇ、寝ていい?
野口:わかりました、じゃあ言い方を変えます。杉本先生はどうしたら顧問になってくれるんですか?
杉本:えー? うーん、そうだなー。そりゃよっぽどメリットがあればねー。といってもお金取るわけにいかないしー。私、独身だし、お金かかる趣味もないから、それほど困ってないしなー。
野口:格差社会の犠牲者にケンカ売る台詞ですね……
杉本:男にも困ってないしー?
野口:なんでこんな人がモテるんだ……顔か? やっぱり顔なのか?
杉本:そうそう、男って基本、顔しか見てないよ?
野口:言うんですか、それ自分で言うんですか!?
杉本:だってなぜかモテるんだもん。我ながら性格こんななのにね。「出会いがなーい」とか言ってる子たちの気持ちわからなくて、女の子から嫌われることくらいかな悩みは……そうだ、女の子。
野口:え、なんですか?
杉本:私さ、男飽きたから。一度女の子って試してみたいんだよね。
野口:……は?
杉本:野口さん結構かわいいし。イケる気がする。
野口:ちょ、ちょっと冗談ですよね?
杉本:……いやなら別にいいよ。私はどっちでも。交換条件として野口さんが私に出せるものって言ったらそれくらいじゃないかなーって思うだけで。
野口:そ、そんな……
杉本:どうする? バスケ部のために私に体を差し出す? ん? 責任感の強い野口さん。
野口:ば、馬鹿にしないでください!
杉本:まあそういうわけだから、他当たって……ああ、ねむ。ほんとに寝よ。
野口:杉本先生、私はあきらめませんから! 毎日でも来ますから!
杉本:(寝息)
野口:……ほんとに寝てる。
(数日後)
野口:先生、お願いします!
杉本:はあ……ほんとに毎日来なくていいのに。
野口:お願いします! お願いします! お願いします!
杉本:やだ、寝る。
野口:そう言うと思いました。だから今日は覚悟決めて来たんです。(服を脱ぎだす)
杉本:え、ちょっと、なにしてんの?
野口:先生言いましたよね。私が体を差し出せば顧問になってくれるって! ……いいです、その条件で。お願いします!
杉本:はぁ……野口さん、ちょっとこっちにおいで。
野口:はい……あの、私こういうこと初めてで、うまくできないかもしれませんけど……
杉本:じゃなくて、はい。
野口:鏡……なんで?
杉本:よく見てみ。自分がどんな顔しているか。クマがすごいし、顔色も悪い。そんな自分を失った顔した子に欲情すると思う? はい、服着なさい。
野口:はい……(服を着る)だったら私、どうしたら。
杉本:そんなにやつれて。顧問の先生を見つけることが本当にいいのかね。私の情報網、なめない方がいいよー。私の気を引くためにいろんな男がいろんな情報くれるから。
野口:え? 情報って……
杉本:部長の野口さんがバスケ部の部員たちにどんな扱いを受けているか、とかね。
野口:扱いってそんな……みんな私の大事な仲間です! ……私がなかなか顧問を見つけてこれなくて、みんなにバスケをやらせてやれないから、それで……
杉本:そうだよねー、野口さんは本当はバスケ部のある高校に行きたかったのに、親の都合でこの高校に進学した。自称進学校であんまり運動に力を入れてもないから、バスケ部は数年前に部員不足で廃部になったまま。どうしてもバスケをやりたい野口さんは、必死に部員をかき集めて部活を復活させようとしている、と。
野口:そうです……あとは顧問の先生さえ見つかれば! みんな、バスケがしたいのにできなくてイラだってるんです。私がもっと、しっかりしていれば……。
杉本:そうかなー本当の仲間なら、一緒に顧問を探そうとするんじゃないの? なんで私のところに来るのが野口さんだけなんだろ。いるよねそういうやつ。面倒ごとはリーダーに押し付けて、美味しいところだけもらいたいタイプ。あーやだやだ。
野口:部員のこと悪く言わないでください! 私は平気です!
杉本:あのね、暴力ってのは、肉体的なものだけじゃないんだよ。SNSで陰口言ったり、話しかけても無視したりするのも暴力。そういうのもまったく受けてません、って胸張っていえるの?
野口:……それは。でも、そんなの気にしなければいいだけのことですから。
杉本:ま、私には関係ないけど。何もないところから部活作り上げて、仲間と青春……なんてドラマみたいに上手くいかないもんだよ、現実はね。
野口:そんなつもりじゃ! ……すみません、今日はこれで失礼します。
杉本:(一人になって)やれやれ……面倒なことに関わりたくないんだけどなー。(電話かける)もしもし、キョウちゃん? お願いあるんだけど、聞いてくれるよね?
(数日後)
野口:どういうことですか先生!
杉本:……なによ、寝てたのに。
野口:寝てる場合じゃないですよ! どういうことですか! バスケ部が! バスケ部が!
杉本:うん、つぶした。
野口:どうして!
杉本:(無視して)……ふむふむ。
野口:な、なんですか?
杉本:ちょっと顔色よくなってる。
野口:え?
杉本:重荷がおりたんじゃない? あんな顔でバスケやっても楽しくなかったと思うよ。
野口:それは、確かに。
杉本:じゃあいいじゃない。
野口:悔しいけど先生の言う通りでした。バスケ部がなくなったとたん、みんな違う部活とか趣味とかに流れてしまって……ははは、馬鹿だな私、一人で盛り上がってたんですね。でも、やっぱりバスケはやりたかったな。
杉本:やればいいじゃん。
野口:え、でも……
杉本:あのね、君たち高校生はスポーツイコール部活って考えがちだけど、そうとは限らないからね。ほら。(チラシを何枚か手渡す)
野口:なんですか、これ? バスケットボールサークル?
杉本:学校を出てもスポーツやりたい人たちは、一定数居るらしくてね。なんで進んで汗をかきたがるのか、私には理解できないけど。主催しているのは社会人だけど、学生でも入れるし、見学してよさそうなところに入れば?
野口:そっか、外部のサークル……思いつきませんでした。
杉本:あと、付属の大学のクラブにも参加したかったらできるってさ。
野口:え、わざわざ調べてくれたんですか?
杉本:めんどくさかった……勘弁して。
野口:ありがとうございます。本当に。でも、私は部活作るのも諦めませんから。これからこの学校に入ってくる後輩たちのためにも。幸い部員の中の何人かは、まだ私と一緒にバスケしたいって言ってくれてるんで。
杉本:そうみたいねー。あーあ、美しい友情……私には無縁だからよくわかんないけど。
野口:あと先生もいてくれますし。改めて人数そろったら、やっぱり顧問になって欲しいです。
杉本:まだ言うか。
野口:はい、お願いします!
杉本:断る方がめんどくさくなってきた。
野口:え、じゃあ!
杉本:はいはい、揃ったらね。……じゃあ私は寝るから。
野口:待ってください、先生どうしてこんなことを?
杉本:え? 私、教頭と仲良しだから、いろいろできるよ?
野口:あの教頭、実は面食いかよ! ……ってそうじゃなくて、なんで私のためにここまでしてくれるのかって話です。
杉本:別に、気が向いたから?
野口:私、先生のこと誤解してました。いい加減で、男にだらしなくて、最低な先生だと思ってました。
杉本:前から思ってたけど、野口さん、割と口悪いよね?
野口:だから、その、私はいいですよ。
杉本:なにが?
野口:その、試してみたい、ってやつです。今の私ならどうですか?
杉本:まだ覚えてたんだ。
野口:はい、どうぞ……!
杉本:どうぞって
野口:お願いします!
杉本:……本当にいいの?
野口:はい。
杉本:……じゃおいで。
野口:はい、失礼します。
杉本:細いねぇ、野口さん。胸も腰も、発展途上……。
野口:それは……先生に比べたら……あ……
杉本:ううん、かわいい。
野口:先生が、そう言うなら……あ……や……
杉本:力抜いて……
野口:はい…
杉本:目を閉じてて。
野口:はい……あの、ちょっと怖いけど、その……私、先生のこと
杉本:閉じてて
野口:はい
杉本:(リップ音)はい、おしまい。
野口:……え? え? え!?
杉本:そりゃそうでしょ。いくら教頭にひいきされてる杉本先生でも、生徒に手を出したら免職になっちゃう。
野口:え、ちょっとまってください、これで終わりですか?
杉本:(笑う)物足りなさそうな顔……かわいいね、野口さん。
野口:わ、笑わないでください。私は、せっかく覚悟を決めたのに。
杉本:というわけで、続きがしたかったらあなたが卒業した後ね。野口さんが覚えていればの話だけど。
野口:私は覚えてますよ! けど、杉本先生モテるから、すぐ、彼氏とか作りそう。1人じゃなくて7人くらい。
杉本:ひどい言われよう。
野口:決めました。私これからもここに来ます。で、先生が浮気してないか見張ります!
杉本:はあ?
野口:ついでにサボってないかも見張ります!
杉本:うそだよね。
(数ヵ月後)
野口:先生、お願いします!
杉本:……え、なに? 起こさないで、いい夢見てたのに。
野口:報告書の下書きできましたって! さすがに先生が目を通さないとまずいでしょ。
杉本:大丈夫大丈夫、そのままメールに添付して送っておいて。
野口:ダメですって、こないだもそれやって学年主任に内容深く聞かれて答えられなかったでしょう!
杉本:えーめんどくさいー。
野口:なんで私はいつの間にか先生のゴーストライター兼、事務員みたいになってるんですか。
杉本:だって野口さん毎日来るから。で、野口さんは頭がよくて手先器用で文章も上手い。私はめんどくさいことはやりたくない。需要と供給の自然な流れだよねえ。おかげでますますサボれて助かってるよ。
野口:なぐりますよ? ……まあ、悪いことばかりでもないですけど。私こういう人をサポートする仕事向いてるなって思ったから、大学入ったら、秘書検定取って、秘書を目指そうかと。
杉本:……あっそ。
野口:先生。いまちょっとむっとしましたよね。やきもち焼きましたよね? 私が先生以外の人をサポートするの想像して、機嫌悪くなりましたよね。
杉本:うるさいガキだな。
野口:大丈夫ですよ。卒業しても先生のところには毎日来ますから。
杉本:どうやって?
野口:そうですねー……。先生マンションに一人暮らしですよね。そこに住もうかな。
杉本:はあ!? 何勝手に決めてんの? 冗談じゃない。私は自由きままな独身生活を謳歌(おうか)してんのよ? 邪魔しないでくれる?
野口:私、家事得意ですよ?
杉本:いつにする?
END
先生、お願いします!(百合ver.) (0:2)