【声劇台本 男男】先生、お願いします!

メイロラ

「先生、お願いします!」

◇キャスト

杉本先生・・・「眠い」「だるい」「めんどくさい」が口癖の高校教師。仕事をしているのを見たことがないといわれているが、顔がイケメンのため女性にモテる。

野口くん・・・高校2年生。真面目な優等生。まっすぐな性格。まっすぐすぎてちょっと口が悪い。


◇◇◇

野口:先生、お願いします!

杉本:え? 何が? ……ああ、ねむ。

野口:え、聞いてなかったんですか? 俺の話全部?

杉本:だって面白くなさそうだし。……次の授業まで時間あるな、仮眠するか。

野口:いや待ってくださいよ! 寝ないでください!

杉本:野口くんはもうすぐ昼休み終わりでしょ。教室戻りなさい。

野口:嫌です! 先生が「うん」と言ってくれるまで帰りません!

杉本:えーめんどくさいーなんかすごくめんどくさい匂いしかしなーい。

野口:改めて、先生、お願いします! バスケ部の顧問になってください!

杉本:やだ。

野口:どうして?

杉本:え? めんどくさいから? 逆になんで俺? スポーツマンだから?

野口:全然違います。寝ているイメージしかないです。しかたないでしょう! 他の先生はすでに他の部活の顧問とか、産休前とか、ご家族の介護があるとか……暇なの杉本先生だけなんです!

杉本:え、今暇っていった? 暇っていったよね、野口くん。

野口:あ、すみません! えっとその……お時間に余裕があるのは、杉本先生だけなんです。だから、お願いします。顧問になってください。でないと、バスケ部が廃部になってしまうんです。

杉本:えーいいじゃん別に。野球部かサッカー部にでも入ればいいじゃん。バスケじゃ絶対食っていけないけど、野球かサッカーならワンチャンあるよ?

野口:そんな! 俺たちはバスケがやりたいんです!

杉本:気のせい気のせい。他のスポーツでも球を使って体動かすことに変わりないし、やってるうちにハマるって。大丈夫大丈夫。

野口:そんなことありません! バスケを侮辱するのは先生でも許しません!

杉本:おっけーおっけー! 許せない先生に、顧問をお願いするのはよくないよね、うん。じゃ、俺は寝るから。

野口:だからそれは困るんですって! 起きてください!

杉本:やだーねむいー! なんでそんなにバスケにこだわるのさー

野口:理由なんてありません! バスケが好きなんです! でも、この学校にはバスケ部がなくて……やっと部員を集めたんです! あと顧問の先生だけなんです!

杉本:あっそ、がんばるねー。いや、がんばるのはいいよ、がんばるのは。でも俺を巻き込まないでくれるかなー? 俺はめんどくさいことが何よりも嫌いなの。面倒な事とやりたくない事は人に押し付けるって決めてるの。

野口:……教師として最低の台詞を胸張って言わないでくさい。バスケがやりたいって思う俺たちの思いをどうしてわかってくれないんですか?

杉本:野口くんこそ「サボりたい」という俺の気持ちをどうしてわかってくれないかなー。

野口:わかるわけないでしょ。それでも教師ですか?

杉本:うーん、教員免許あるしここで働いてるから、一応そうじゃない? ああ、ねむ。

野口:わかりました、じゃあ言い方を変えます。杉本先生はどうしたら顧問になってくれるんですか?

杉本:えー? うーん、そうだなー。そりゃよっぽどメリットがあればねー。といってもお金取るわけにいかないしー。教師って公務員だし、俺独身だし、お金かかる趣味もないから、それほど困ってないしなー。

野口:格差社会の犠牲者にケンカ売る台詞ですね……

杉本:女にも困ってないしー?

野口:なんでこんな奴がモテるんだ……顔か? やっぱり顔なのか?

杉本:ホントホント。女って俺の顔好きだよねー。

野口:言うんですか、それ自分で言うんですか!?

杉本:小学校の頃からモテたよねーなぜか。我ながら性格こんななのにね。モテない奴の気持ちわからなくて、男から嫌われることくらいかな悩みは……そうだ「男」

野口:え、なんですか?

杉本:俺さ、女飽きたから。一度男って試してみたいんだよね。

野口:……は?

杉本:野口くん結構かわいいし。イケる気がする。

野口:ちょ、ちょっと冗談ですよね??

杉本:……いやなら別にいいよ。俺はどっちでも。交換条件として野口くんが俺に出せるものって言ったらそれくらいじゃないかなーって思うだけで。

野口:そ、そんな……

杉本:どうする? バスケ部のために俺に体を差し出す? ん? 責任感の強い優等生の野口くん。

野口:ば、馬鹿にしないでください!

杉本:まあそういうわけだから、他当たって……ああ、ねむ。ほんとに寝よ。

野口:杉本先生、俺はあきらめませんから! 毎日でも来ますから!

杉本:(寝息)

野口:……ほんとに寝てる。


(数日後)


野口:先生、お願いします!

杉本:はあ……ほんとに毎日来なくていいのに。

野口:お願いします! お願いします! お願いします!

杉本:やだ、寝る。

野口:そう言うと思いました。だから今日は覚悟決めて来たんです。(服を脱ぎだす)

杉本:え、ちょっと、なにしてんの?

野口:先生言いましたよね。俺が体を差し出せば顧問になってくれるって! ……いいです、その条件で。お願いします!

杉本:はぁ……野口くん、ちょっとこっちにおいで。

野口:はい……あの、俺こういうこと初めてで、うまくできないかもしれませんけど……

杉本:じゃなくて、はい。

野口:鏡……なんで?

杉本:よく見てみ。自分がどんな顔しているか。クマがすごいし、顔色も悪い。そんな自分を失った顔した奴に欲情すると思う? はい、服着なさい。

野口:はい……(服を着る)だったら俺、どうしたら。

杉本:そんなにやつれて。顧問の先生を見つけることが本当にいいのかね。俺の情報網、なめない方がいいよー。俺の気を引くためにいろんな女の子がいろんな情報くれるから。

野口:え? 情報って……

杉本:部長の野口くんがバスケ部の部員たちにどんな扱いを受けているか、とかね。

野口:扱いってそんな……みんな俺の大事な仲間です! ……俺がなかなか顧問を見つけてこれなくて、みんなにバスケをやらせてやれないから、それで……

杉本:そうだよねー、野口くんは本当はバスケ部のある高校に行きたかったのに、親の都合でこの高校に進学した。自称進学校であんまり運動に力を入れてもないから、バスケ部は数年前に部員不足で廃部になったまま。どうしてもバスケをやりたい野口くんは、必死に部員をかき集めて部活を復活させようとしている、と。

野口:そうです……あとは顧問の先生さえ見つかれば……みんな、バスケがしたいのにできなくてイラだってるんです。俺がもっと、しっかりしていれば……。

杉本:そうかなー本当の仲間なら、一緒に顧問を探そうとするんじゃないの? なんで俺のところに来るのが野口くんだけなんだろ。いるよねそういうやつ。面倒ごとはリーダーに押し付けて、美味しいところだけもらいたいタイプ。あーやだやだ。

野口:部員のこと悪く言わないでください! 俺は、なにもされてません!

杉本:そうかなー暴力ってのは、肉体的なものだけじゃないんだよ。SNSで陰口言ったり、話しかけても無視したりするのも暴力。そういうのもまったく受けてません、って胸張っていえるの?

野口:……それは。でも、そんなの気にしなければいいだけのことですから。

杉本:ま、俺には関係ないけど。何もないところから部活作り上げて、仲間と青春……なんてドラマみたいに上手くいかないものだよ、現実はね。

野口:そんなつもりじゃ……! すみません、今日はこれで失礼します。

杉本:(一人になって)やれやれ……面倒なことに関わりたくないんだけどなー。(電話かける)もしもし、キョウちゃん? 悪いんだけどさ、ちょっと手貸してくれない? 


(数日後)


野口:どういうことですか先生!

杉本:……なんだよ、寝てたのに。

野口:寝てる場合じゃないですよ! どういうことですか! バスケ部が! バスケ部が!

杉本:うん、つぶした。

野口:どうして!

杉本:(無視して)……ふむふむ。

野口:な、なんですか?

杉本:ちょっと顔色よくなってる。

野口:え?

杉本:重荷がおりたんじゃない? あんな顔でバスケやっても楽しくなかったと思うよ。

野口:それは、確かに。

杉本:じゃあいいじゃない。

野口:悔しいけど先生の言う通りでした。バスケ部がなくなったとたん、みんな違う部活とか趣味に流れてしまって……ははは、馬鹿だな俺、一人で盛り上がってたんですね。でも、やっぱりバスケはやりたかったな。

杉本:あのさ、君たち学生はスポーツイコール部活って考えがちだけど、そうとは限らないからね。ほら。(チラシを何枚か手渡す)

野口:なんですか、これ? バスケットサークル?

杉本:学校を出てもスポーツやりたい人たちは、一定数居るらしくてね。なんで進んで汗をかきたがるのか、俺には理解できないけど。主催しているのは社会人だけど、学生でも入れるし……あー、想像しただけでむさくるし。

野口:こんなのが、あるんですね……知らなかった。

杉本:まあ、そういう方法もあるってこと。

野口:ありがとうございます、杉本先生!

杉本:よかったねーはい解決。じゃあ、俺は寝るから。

野口:待ってください、先生どうしてこんなことを?

杉本:え? 俺、教頭と仲良しだからさ、いろいろできるよ?

野口:あの教頭、あんな顔して面食いかよ! ……ってそうじゃなくて、なんで俺のためにここまでしてくれるのかって話です。

杉本:別に、気が向いたから?

野口:俺、先生のこと誤解してました。いい加減で、女ったらしで、最低な先生だと思ってました。

杉本:前から思ってたけど、野口くん、割と口悪いよね?

野口:だから、その、俺はいいですよ。

杉本:なにが?

野口:その、試してみたい、ってやつです。今の俺ならどうですか?

杉本:まだ覚えてたんだ。

野口:はい、どうぞ……!

杉本:どうぞって

野口:お願いします!

杉本:……本当にいいの?

野口:はい! 先生なら!

杉本:じゃおいで。

野口:はい、失礼します。

杉本:小さいねえ、野口くん。俺の腕にすっぽり入る。

野口:はい、バスケやるには、不利です。あ……

杉本:でも、こうやって可愛がるには、いいね。ちょうどいいサイズだ……

野口:先生が、そう言うなら……あ……ん……

杉本:力抜いて……

野口:はい……

杉本:目を閉じてて。

野口:はい、……あの、ちょっと怖いけど、その……俺、先生のこと

杉本:閉じてて

野口:はい

杉本:(リップ音)はい、おしまい。

野口:え? え? え?

杉本:いくら教頭にひいきされてる杉本先生でも生徒に手を出したら免職になっちゃうからねー。

野口:え、ちょっとまってください、これで終わりですか?

杉本:(笑う)物足りなさそうな顔……かわいいね、野口くん。

野口:わ、笑わないでください。俺は、せっかく覚悟を決めたのに。

杉本:というわけで、続きがしたかったら君が卒業した後ね。野口くんが覚えていればの話だけど。

野口:俺は覚えてますよ! けど、杉本先生モテるから、絶対、彼女とか作りそう。1人じゃなくて7人くらい。

杉本:ひどい言われよう。

野口:決めました。俺これからもここに来ます。で、先生が浮気してないか見張ります!

杉本:はあ?

野口:ついでにサボってないかも見張ります!

杉本:うそだよね。


(数ヵ月後)


野口:先生、お願いします!

杉本:……え、なに? 起こさないで、いい夢見てたのに。

野口:報告書の下書きできましたって! さすがに先生が目を通さないとまずいでしょ。

杉本:大丈夫大丈夫、そのままメールに添付して送っておいて。

野口:ダメですって、こないだもそれやって学年主任に内容深く聞かれて答えられなかったでしょう!

杉本:えーめんどくさいー。

野口:なんで俺はいつの間にか先生のゴーストライター兼、事務員みたいになってるんですか。

杉本:だって野口くん毎日来るから。で、野口くんは頭がよくて手先器用で文章も上手い。俺はめんどくさいことはやりたくない。需要と供給の自然な流れだよねえ。おかげでますますサボれて助かってるよ。

野口:なぐりますよ? ……まあ、悪いことばかりでもないですけど。俺こういう仕事向いてるなって思ったから、大学入ったら、秘書検定取って、秘書を目指そうかと。

杉本:……あっそ。

野口:先生。いまちょっとむっとしましたよね。やきもち焼きましたよね? 俺が先生以外の人をサポートするの想像して、機嫌悪くなりましたよね。

杉本:うるせぇガキだな。

野口:大丈夫ですよ。卒業しても先生のところには毎日来ますから。

杉本:どうやって?

野口:そうですねー先生マンションに一人暮らしですよね。そこに住もうかな。

杉本:はあ!? 何勝手に決めてんの? 冗談じゃない。俺は自由きままな独身生活を謳歌(おうか)してんのよ? 邪魔しないでくれる?

野口:俺、家事得意ですよ?

杉本:いつにする?


END

【声劇台本 男男】先生、お願いします!

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