製作者は宝の配置に迷っていた。迷ったのち、9つの宝をこの世界に隠した。根を詰めたあとの一服を燻らせる博士の横には。大きなセルロイドのケース、その中で芥の淀みが渦を巻いている。そこに四分一合金製の覗き管を差しこむ。ケーブルでコンピューターに直結。タブレット式のモニタには青い星が輝いている。スワイプして拡大。博士は目を曇らせた。ようやく文明を築いた猿は天に届く塔を建造しだしていた。博士はこの実験において放任を貫くつもりであった。

が一向にしてクランケは宝探しを始めない。ついに業を煮やさした博士は手をくだすことを決心した。「私は創造主である。」

そのときである。博士は今までに経験したことのない強い立ち眩みを覚えた。何かに睨まれている感覚、とてつもなく巨大な鬼眼を感じ。痙攣し失禁した。目は見えず耳は聞こえず脳に直接話された。それは今までに聞いたどの言語にも属さない言葉だった。恐ろしい呪縛から解放された博士は、思わず叫んだ。「God, you were there(神よ。あなたはそこにいたのですね)」

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-10

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