例えば、

さんかい

  1. ブラック企業の話はどうでしょう?
  2. 物知りな子の話なんてのは如何?
  3. 完璧だった世界の話
  4. 邂逅
  5. 某、或る人売りの噺
  6. 某、或る道具屋の独り言
  7. 謎の会話
  8. 人生を売った少年の話

こちらでは短編を書いていきます。

「日常日記」はとの違いは
「日常日記」は「私が思ったことの落書き帳」で
「例えば、」は「超短編のための短編集」って感じです。

アイディアを思い付く頭脳が圧倒的に欠如しているので、更新は他の作品以上にカメレベルになるかと思います。
普通の更新もただでさえカメなんですけどね。

ブラック企業の話はどうでしょう?

※注意※
こちらはもともと「日常日記」に掲載していたものですが、内容的にこっちの方が近いかなと思ったので移します。そして少し内容を変えました。ご了承ください。「日常日記」の「ブラック企業」は被るので削除させていただきます。
それでは、どうぞ。


なあ、お前知ってるか。

何をっすか、先輩。

何ってこの“会社”のことだよ。

この“会社”?

何だよ、何にも知らないのか。ここってブラックなんだぜ。

ブ、ブラック⁉

そうさ。24時間365日、休みも給料もなしのまま、一生ここで働きづめさ。

そ、そんなぁ……。

そんな声出すなよ。それに俺たちはまだマシな方さ、ただの配送業だからな。

というと?

例えばほら、あいつらなんかは敵から俺たちを守るのが仕事なんだ。勿論命懸けで。

命懸け……。

だから俺たちはあいつらに感謝してるよ。俺たちを含め、ここで働く全職員があいつらの護衛のおかげで働けてるんだから。

そうなんですか……ところで、この運んでる荷物って、何て名前でしたっけ。

“酸素”だよ。忘れんなよ、新人。

物知りな子の話なんてのは如何?

僕は日本で一番語彙力がある。

あ、語彙力ってわかる?ちょっと難しかったかな、語彙、つまり言葉や単語をどれだけ知っているか、そしてどれだけ使えるかっていう能力のことさ。

君が絶対に知っている日常的な用語から、専門家レベルの超〜難しい単語まで、僕はあらゆる言葉を知っている。

……え?「orz」って何かって?えーっとごめんね、そういう系のネット用語はわからないんだ。

「kwsk」?「ggrks」?「ktkr」?

……うーん、僕は何でも知ってると思ってたけど、まだまだ難解な日本語があるんだね。あ、難解って、難しいって意味だよ。

「DQN」?「hshs」?あぁもう、知らないってば‼

だって載ってないんだもん、僕の身体のどのページにも!


彼の「背中」には、「広辞苑」という文字があった。

完璧だった世界の話

壊れていく。
ガラガラと音を立てて、崩れていく「現実」。どうしたってこうしたって、無力な私たち「ニンゲン」には、ただただ呆然と、その様を見つめるしかできない。
逃げ惑う「ヒトビト」の悲鳴。私は悲鳴を、生まれて初めて聞いた。

私たちには「意志」がなかった。
いつだってパターン化された「毎日」を「生きて」いて、だからこそ「意志」なんてものは必要なかった。

まるで海の水平線のように完璧で、終わりがなく、まさしく素晴らしい世界。
そう。果てもない、これ以上ない、理想の世界。


……なのに、なのに、なのに、どうして?


走る、走る。あてどなく、あてどなく。
どこへ行ったって変わらないのに、どうしたってどうしようもないのに、なのに他に術を知らない私は、救いようもなく無力だ。

痛い。今さっき初めて「意志」を持った私たちは、これからどうすればいいのかすらわからなかった。

「プログラム」にない。ならどうすればいい?

ああ、ああ、ああ、わからない。「適応」できない。



まるで大荒れの海のように荒れ狂う世界。完璧な世界はどこに行ってしまったのだろう。

ねえ『博士』、貴方は一体何が気に入らなかったのですか?



この、限りなく完璧な世界の、一体どこが。

「……あぁ、また失敗だ」
白衣を着た初老の男が、暗い一室でパソコンに向き合っていた。
画面の向こう側には、崩れていく電子の世界。それは、男が今まで作り上げてきた人工知能の実験現場だった。
その世界に人工知能をたくさん住まわせ、その後どのように変化していくかを観察する。そうすることで人工知能の具合を確認していたのだが……。

「こいつらは『完璧』ばかりを求めている。私が求めているのは、『海』のような秩序溢れる世界でも『山』のような混沌とした世界でもなく、多種多様に変化する『空』のような、不完全な世界なのに」

完全からは何も生まれる隙がないということを、こいつらはどうしたら気付いてくれるのだろう。
男はそう言って呆れたように溜め息を吐いた。

『空』が出来上がるまで、あと……。

邂逅

最初は、何もなかった。
暗い。
暗い。
わたしすらも居ない。
わたしは待っている。現れるかすらわからない「誰か」を待っている。

待っている。
待っている。

そしてあるとき思いつく、「何もないのであれば、わたしが作ってしまえばいい」と。
はっと思い付いたアイディアは我ながら素晴らしく、いい案だ、と自画自賛した。

そして次に考えるのは、どのようなものを作ろうか、ということ。
……うーむ、しかしここのような暗いだけのものはつまらない。
もっといろいろなものがあって、もっと彩り豊かなものがいい。
まぁ何にせよ、何かを作るためには『基盤』となるものが必要だ。まずはそれから作るとしよう。

「……ではその『基盤』を、『大地』と名付けよう」

すると、足元に何か触れるものが現れた。
その感覚が、わたしに「わたしは『大地』に立っているのだ」の確認させた。
本当に作れた。
そのことに少々の高揚感を覚え、少しいい気になって、次は何を作ろうかと考え始めた。
……しかし暗いな。何かを作ろうにも、これほど暗ければ何もわからんじゃないか。
それでは……次に、『明かり』を作ろう。この真っ暗な闇を照らせるような、赤く明るい光を。

「その『明かり』を、『火』と名付けよう」

途端。
ボゥッと音を立てて、何か赤いものが揺らめいた。
作れた、と思った瞬間。

「熱い」

視界を覆わんばかりの『赤い何か』に包まれ、よくわからない感覚が脳天を貫いた。
熱い、熱い、熱い!
痛い!これが『火』⁉
わたしが作り出したのか⁉
熱い、辛い!
やめろ、止まれ!貴様はわたしが作り出したのだぞ!
熱い、熱い、熱い!
どうか、どうかこの火を止められる冷たいものを──。

「その『冷たいもの』を、『水』と名付ける‼」

半ば叫ぶようなわたしの願いが、この苦しみから逃れたいと思うその気持ちが、わたしに大量の『それ』を作らせた。
そして、ジュウ、と音がして、たちまちあの憎らしい熱さが消え去る。
……助かったのか?
恐る恐る視界を機能させる。
──そこには、『大地』を覆い尽くしてしまった『水』があった。

「あああ……しまった、作りすぎた!」

全くと言っていいほど加減がわからない。
『大地』はまあいいとして、『火』を作れば己を焼いてしまうし、『水』に至ってはせっかく作った『大地』を覆い尽くしてしまったし……。
……いや、うだうだ言ったってしょうがない。今から慣れればいいのだ、時間ならいくらでもある。
しかし、寒いな。『水』で身体が濡れて、冷え込んでしまったようだ。
うぅそうか、こういうときに『火』を使うのか。
そしてまた『火』を作ろうとして、はっと思う。
そうだ、『火』は『水』に弱いのだった。こんなところで『火』を作ったところですぐ消えてしまう。
えぇと……では、先程沈んでしまった『大地』の一部を浮き上がらせよう。
その上でなら、きっと『火』も生きられる。

「ではその『大地の一部』を、『島』と名付けよう」

ごぼごぼと音を立て、わたしの周りの『大地』が浮き上がる。
成功か?おぉ、成功したか。
……しかし……

「いやでかすぎやしないか⁉」

地平線の彼方まで見ても、あの『水』は見当たらない。
『大地』全てを浮き上がらせてしまったのではないかと思うほどだった。

「やはり加減がわからんなぁ……」

ぶつぶつと言いながら、次は『火』を作ろうと手を皿のようにくっつける。
規模を提示しないからきっといかんのだ。この両手に収まるくらいの……小さな『火』を。

「その『熱』を、『火』を……生み出そう」

ぽぅっと、先程とは違う小さな『火』が生まれた。
よしよし、調子が出てきた。ようやく慣れてきたと言うべきが。

「温かい……」

小さく揺れるこの『火』が、つい先程わたしを焼こうとしていた『火』と同じものだなんて信じられない。
それくらい、この手の中に収まる『火』は可愛らしいものだった。
だいぶ温まったところで、皿の形を作っていた両の手を離した。『火』は霞のように消え去る。
『火』は放置すると恐ろしいことになる。
先程文字通りそれを痛感したわたしは学習し、使用後はすぐ消すと決めたのだった。

「……さて……」

温まり、立ち上がったわたしは『島』を見渡した。
何もない。ここまで殺風景だと物寂しいものだ。
そうだ、この『島』の上にも、何か作ってしまおう。
茶色の『大地』、赤い『火』、青い『水』……。
次に作るとしたら……そうだな、緑色のものがいい。
『大地』を、『島』を彩る美しいそれを……

「それをわたしは、『木』と名付けよう」

何かを生み出すのも、もう慣れたものだった。
わたしが作った『木』は、『大地』に根を張り、地中の『水』を吸い上げ、手を広げるように、あっという間に若木になった。

「おお……これは美しい!」

理想通りのものが作れたことで気を良くしたわたしは、次々に『木』を作り出した。
そのうち同じものに飽きて、少しずつ形状を変えたり、色とりどりの『花』を咲かせる『木』を作ってみたりと、美しく『大地』を染め上げた。
どれくらいそうしていたのかわからない。
気づけば、『火』が消えぬようにと作り出したこの『島』は、わたしが作った『木』でいっぱいになった。
そうして辿り着いた、『島』の端。
この『島』を作ったときにはとてもあるようになんて思えなかった『島』の端が、その向こう側が、今、わたしの目の前にある。
……わたしは己の目を疑った。

「……これは……あのときの『水』か……?」

本当にいつの間に広がったのか、この『島』の規模を遥かに上回る広さのそれが、わたしには何かの『化け物』のように見えた。
この『島』だけでも相当な広さだったというのに、こいつはその何倍もの広さだ。
『島』には端があったが、この『水』には端があるのだろうか。
……いや、きっとない。だって水平線が見えないのだから。
見える限りの『水』の端は、天上とほぼ一体化してしまっている。
区切りを付けない限り、きっとこの『水』はどこまでも続くだろう。
いや、もはや『水』なんて呼び方は相応しくない。
これには名前を付けるべきだ。かつてわたしが、そうやって万物を生み出してきたように。
そして、この天上にも名を付ける。
そうすることで違いを明確にするためだ。
……思えば、ただの一度も気にしたことなどなかったな、この『天上』を。

世界に区切りを付けるために、世界を有限にするために。



「──その『有限』の『水』を『海』と名付け、その『無限』の『天上』を──『空』、と名付けよう」



世界は『限り』を与えられ、そして初めて動き出す。

某、或る人売りの噺

人を売っている。
嘘ではない。冗談でもない。本当のことだ。
悪いことをしている自覚はある。そりゃそうだ、だって命を売っているんだから。

でも、命の売買なんて昔から蔓延っていただろう。
昔流行ったろう、ほら、「ペットショップ」とかいう可愛らしい動物ばかりを集めた店が。
動物が許されて、人ではダメなんてそんなことが通るか。普通に考えて通らないだろ。

それに、こうでもして稼いでいかないと食っていけないんだ。
家族がいる。嫁と、子供と、両親も養っていかなければならない。
それに、どうせ売られる奴らだってどこにも居場所がない連中ばっかりなのだ。そいつらに新しい居場所を与えてやっているのだ。それの一体何が悪い?

あぁそういえば、この間、逃げ出していった奴がひとりいたな。
赤髪で、目が大きいチビが。
くそ、あいつのせいで今月の儲けがいつもより少ない。
ただでさえギリギリの生活だっていうのに……。

商品はそのまま儲けに繋がる。
だから厳重に鍵をかけて、絶対に逃げないように常時ひとり以上の見張りをつけていた。
その甲斐あってか、売り物が逃げたことは殆どなかった。
あいつが初めてだったか、逃げ出したのは。
しかし、あんな子供に逃げられるとは……。

……違うな。
あいつが初めてではない。それ以前にもひとりいた。
確か白髪に近い茶髪の、目がよく見えない……。

……とにかく、商品は厳重に保管しなければならない。
もうあんな被害を受けるのは真っ平だ。

さて、被害損額を補うために、いい「商品」を探さなければ。
できれば器量良しの若い女がいいのだが。
「領域」の金持ちに高く売れるから。



人売りの男は、またスラムを練り歩く。
「商品」に成り得る人間を探し求めながら。

某、或る道具屋の独り言

「ときに少年」
「なんすか店長」
10畳ほどの「店内」に、青年と少年がいる。何もなければ広いのであろうその空間は、よくわからない道具で埋め尽くされているせいで、やけに狭苦しく感じられた。チカチカッと時折明滅する裸電球が、どこか気味が悪い。まるで幻であるかのような、不思議な雰囲気が辺りに充ち満ちている。
その空間のなかで、少年と呼ばれた彼が、ハタキで「商品」を掃除していた。
「商品」と言っても、殆どが廃材置き場から調達してきた誰かのお古を、少し改造しただけのものである。
タートルネックのセーターの上に、サロペットのような薄汚れた作業着を着ている。白に近い茶髪は長めで、目にかかっていた。
店長と呼ばれた青年は、薄汚れたエプロンに、縁なしの眼鏡をかけていた。眼鏡はあまり似合っていない。
店長はその眼鏡を外し、ハンカチで拭きながら少年に問いかけた。
「お客が来ないと思わないかい?」
「概ね店長に原因があるかと」
少年は手を止めることなく、そして言葉に躊躇うことなく即答した。
刺を含んだ少年の言葉は、店長にクリーンヒットしたらしい。彼はわかりやすく不機嫌になった。
「酷いこと言うなぁ、少年は。もうちょっとオブラートに包んで言って欲しいよ」
それでも否定しないのは、彼自身、己に原因があるとの自覚が多少なりともあるからだろう。
しかし少年は畳み掛けるように言葉の続きという名の爆弾を投下していく。
「年甲斐もなく不貞腐れないで下さい。そして自覚があるなら仕事して下さい。それから俺がズバズバ本音を言うのは、店長にそういうところを直してもらいたいからです。甘やかしたら調子に乗るのが店長でしょ」
少年の言葉は肯綮に中り、極めて殺傷能力の高い攻撃となって、店長のメンタルを赤色ゲージになるまで追い詰める結果となった。
この店長、意外とメンタルが傷つきやすいのである。
「え~調子になんて乗らないよ~?少年は俺を見くびり過ぎだよ。俺が本気出せば、仕事なんてちょちょいのちょいだから」
しかしメンタルの復帰も早い。店長はすぐさま先程の調子に戻った。
傷つきやすいが復帰も早い。総合的に見ると、メンタルは強い方の店長なのであった。
「まぁ、店長の実力が本物なのは認めますけどねぇ……」
自分自身にしか聞こえないような音量で、少年は呟いた。
「少年ー、何か言ったー?」
「何も言ってないっすよ」
しかし決して本人に言うことはない。言えば調子に乗ることが目に見えているからである。
ふと、店内にコーヒーの香りが漂い始めた。
犯人は店長である。テンプレートなこの会話を済ませて、とびきり甘いコーヒーを飲む。これが店長の朝の日課なのだ。
「さーて、今日も頑張りますか」
「店長、今日こそしっかり働いてくださいね」
締め切っていたカーテンを開ければ、壊れかけの電球に頼らずとも、充分な光が入ってくる。
少年が扉の外の札を「CLOSE」から「OPEN」に変えたその瞬間から、何物でもない1日が始まるのだ。
少年は振り返り、その日初めて、すっかり上機嫌になった店長をまともに見た。店長の猫のように細長い瞳孔に、この店の風景が映っている。



「ときに少年」
「なんすか店長」



そんな会話で始まる彼らの1日。
お互いがお互いをお互いに知ろうとしない、そんな彼らの1日。
縦長の瞳孔を持つ店長と、丸い瞳孔を持つ少年の1日。

そんな彼らの、昔話なのでした。

謎の会話

「いま土下座すれば片腕だけで許してやる」

「謝っても片腕切られちゃうんですか⁉」

「違う。片腕だけ生かしてやるって意味だ」

「もうそればっちり殺人罪‼」

人生を売った少年の話

僕、名前がないんです。
ちょっとだけ昔の話になるんですけどね。

──お前なんか人間じゃない!
──さっさと消えてしまえばいい‼
──血の色の目なんて気持ち悪い。もうこっち来ないで。

それが最期の記憶です。
それを最期に、僕の記憶は途絶えました。
あとは闇です。ただ、ただ真っ暗で、なにもわかりませんでした。
気がついたら、僕は変な場所に立っていました。
どうやってそこに来たのかわかりません。
そこがどこなのかもわかりません。

僕の目の前には、一軒の貸本屋(・・・)がありました。
看板には、こう書かれておりました。

“神様の貸本屋”

例えば、

例えば、

適当に書き殴る短編集。

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  • 短編
  • 全年齢対象
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