冬色の時計

冬色の時計

眠い眼擦ってでも……


時計を気にして急ぐ人たち、
地をゆけば空には気を留めない。

明るいか暗いかだけで、
あとは数字に追われる一日。

立ち止まれないから、
ゆき過ぎる景色も線画の縞模様。

周りに構わず一人の場所へ、
ぼくはまたココに居る。

大切な自然の色が流れないように、
昔と変わらないココに居る。

様変わりする空を見上げるために、
今朝も眼は薄明るい雲を追いかける。

羊の群れがゆっくりと、
焼けた色へ向かってゆく明けの空。

また空が明るくなるから、
星たちはこれから眠る時間。

この景色の愉しみ方は様々で、
じっと見つめていても良い時間。

絵の具の時計は少しずつ色を足す、
一度眼を閉じてまた開ける。

変わらないココで変わりゆく空、
鳥たちも起きだし風に攫われる。

肩をすぼめ寒さが身に染みる、
気にさせない滲む空の色。

昔と変わらないぼくは今を見る、
毎日変わる空の下で。

泣いても笑っても怒っていても、
晴れでも曇りでもどしゃ降りでも。

少しの間待ちさえすれば、
晴れた冬色の時計を見る日が来る。

必ず訪れる晴天の日、
小さい頃に待ち焦がれて居た時の様。

疲れた時は休むように、
今は暫し様子を見よう。

冬色の空は陽を刻む、
やがて旬のみかん色に染まる空。

寒さなんて感じない、
眼に入る冬色が温かくしてくれる。

みかんも半分食べてしまうと、
待ちに待った快晴の朝陽が眩しい。

"さぁ、今日も一日頑張るかぁー"

冬色の時計が鳴り出すと、
何時もの出勤前の
ひと時が終わりを告げる……

冬色の時計

冬色の時計

毎朝忙しく過ごす人たちへ……

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-05

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