煙草

「語らずには居られなくなつてしまつたものものが、部屋のなかでさびしく鎮座してゐた。」
夜、それを静かに抑え続けている。
なにもかもせかいでいちばん儚いと信じてしまいそうで深呼吸がわり、煙草に火を付けるた。くるしい、あまい、かるい、それくらい。水圧のように重たく透きとおったせかいをみたかったけれど、微かに世界は濁っていた。
たくさん吸いこむと、咳き込み、それでまだ信じることは恐ろしく、ぼくはずっと死んでいった星に祈っている。煙草の火が消えないでほしいのかよく、わからないまま。

煙草

煙草

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-02

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