世界がウソをつく

今年も札幌は雪が舞いはじめていた。
「この前まで、30度超えていいたじゃねーかよ」
「だって、ここは北海道だよ」
「だから?」
「だからさ、この前ってのは、9月でしょ? 今は11月だよ? あっという間に冬が来るってこと」
「説明になってないよ。そんなの」
「説明するとすりゃ、地球オンダンカが原因じゃないの?」
「オンダンカかぁ…」
「そりゃ、俺たちにはどうしようもないな」
「そうさ。俺たちが考えるのは、今月の営業売上げだけだよ」
「そっちの方がよっぽど深刻だ…」
「そうだよ…」


こんな会話をもしも会社の社長や部下たちに聞かれたら、きっと立場がないだろうなと思った。
33歳の次長と34歳の課長。
漫才コンビの「次長課長」。
そんな風に揶揄されているのも知っていたけど、
そんな肩書きなんて、必要だと思ったこともないし、その肩書きで仕事をしているとも思っていなかった。ただ、なり手がいないって理由ででその役職に就いて、役職を身の丈にあわせようと必死だった。
「昔の軍人みたいに制服に体を合わせろって感じだよなぁ」
「…」

世界がウソをつく

世界がウソをつく

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-28

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