始まりの酒場にて

土井留ポウ

始まりの酒場にて
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漫画と小説を同時に読める。
何故、こんなことをしようとしたのかは分からない。

 テーブルを囲む三人。ゴールドがないので水ばかり飲んでいる。四人パーティー。魔法使い、魔法使い、魔法使い、戦士だ。これから冒険の旅に出ようというところ。全員がメガネを掛けている。
「先ずは武器を買わねえとなあ」
 魔法使いのふなこしが思慮深そうにこう言う。
「全くだ。丸腰じゃないか俺たち」
 魔法使いのみすはらがそれに同調する。

「鞭が欲しいな。あれは俺向きだ」
 魔法使いのよしだが目をすがめて天井を仰ぐ。
「何が武器だ。お前らに武器などいらないだろう。俺に全部つぎ込め、先頭に立ってやるよ」
 戦士のささはらが机を叩いて、魔法使いたちを制する。
「そもそもお前らが武器を持っても攻撃力が微増するだけだろ。魔法を使え」
 戦士のささはらがこう言うと、
「マジックポイントが減るじゃないか。それにまだ火の魔法しか使えないんだぜ」
「そうだ。そうだ。それに使えても三回が限界だ」
「マジックポイントがなくなったらどうするんだよ、戦士のささはらさんよお」
 と魔法使いが口を揃えて戦士ささはらに突っかかっていく。彼らはマジックポイントが減衰することの不服を述べ、更にマジックポイントが枯渇した時の武器の有用性、というよりは、単に手元の安心を求めるのであった。

「あ」
 魔法使いふなこしが声を上げる。彼の視線は今し方酒場に入ってきた、別のパーティーに向けられる。サムライ、忍者、僧侶、賢者という熟練のパーティーである。しかも男女混合のパーティーで、女賢者とくノ一である。
「いいなあ」
 魔法使いと戦士のパーティーはその光景に見とれ、羨ましげに息を漏らした。ビールジョッキを片手に店の奥に案内されていくサムライ、忍者、僧侶、賢者のパーティー、VIP対応だ。魔法使いと戦士のパーティーはお互いに顔を見合わせた。

「なんでみんなメガネなんだよ」
 魔法使いのふなこしが首を振った。
「おい戦士のささはら、お前は戦士のくせにメガネを掛けるな」
 魔法使いのみすはらが戦士ささはらに向かって指を突き出す。
「近眼なんだよ。あとお前人を指差すなよな。それにお前ら何でみんな魔法使いなんだよ、バランスが悪いじゃないか」
「何かさあ、ダサいよなあ、俺たち」
 魔法使いよしだはこう言って水を飲む。

「そもそも俺たちの名前は何だってひらがなで四文字以内なんだ。そこがダサいよ」
「全くだ、俺なんか本当はみずはらなんだ。濁点が一文字に換算されてるから全部入らないんだ。みすはらじゃないだよ俺は」
 魔法使いのみすはらが悔しそうに拳を握り締めた。
 魔法使いよしだはこれに頷きながら水を飲み干すと、おかわりを頼んでいる。
「ああ、俺も」
「俺も」
「俺も」
 みんな一斉にこの機会にコップの水をおかわりする。水が届くまでの間沈黙する。取りに来たのがバニーガールの衣装を着たウェイトレスだったからだ。何故か、みんな、意味もなくドキドキしているのだった。何か起こらないかな、と揃いも揃って思っているようであったが、水のおかわりは無事に届けられ、ふわふわのポンポンの付いた尻を振りながらウェイトレスは去って行った。

始まりの酒場にて

漫画の字が小さくて読めないかも知れないです。
申し訳ない。
漫画ハックの方でも一応アップしたのでこちらは字が大きく読めると思います。

始まりの酒場にて

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-10-25

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