女子高生の現状

これが現実。

本日、入学いたしました。

 剛田路子(ごうだみちこ)。15才。通称みっちゃん。彼氏いない歴、歳と同じ。この歳になるまで恋を知らずに清く生きてきました。
 わたくし、本日をもって中学を卒業。4月からは、晴れて高校生です。ウキウキに真新しい制服に袖を通したところ、です。
 これから入学式。友達100人できるかな気分で、会場の体育館に入りました。中は、すでにほとんどの入学生でいっぱいでした。ここは、私立高校。いわゆる、おバカな子たちが他と比べて多いとこ。公立を受験し、落ちた私もその1人。ここにいるほとんどが私と同じであることに、ほっとするなにかがありました。
そして始まった入学式。笑っている者は、1人としていない。それもそのはず。この高校は市内でも有名な、ダサ高校だったからです。制服はもちろんのこと、髪型も規制されていて、校則は細かく決められており、いっさいの自由がないのです。ここにいるみんなが、先生、本校生を抜いて知らなかった分けではありませんが、その実態は知ることがありませんでした。
 同中の先輩方もいました。けど、彼女たちは教えてはくれませんでした。それは後々分かりますが、簡単に、尚かつ簡潔にいいますと、言ってしまえば誰も入りたがらないのです。私もひどく落ち込みました。忘れもしないあの空気。まさに空気が冷凍されたようでした。学校案内と違うじゃないか!騙された!・・・時すでに遅し。私たちは心ここにあらずの状態で教室へと案内されました。だけど私は諦めない。希望の光が見えてきた!なぜなら試験を受けにいったときのことである。

 案内された試験会場。そこは綺麗な教室。廊下も教室も、ゴミ一つありませんでした。あのとき私は、ここで高校生活送るのもいいな。もとから共学やだったし、卓球強いとこみたいだし。私は、そこそこ卓球に自信がありました。中学では、女子の中(後輩あわせて12人しかいませんでしたが)で1番の成績を納めておりました。調子乗ってた私は、ここを受験したときから決めていたのかも知れません。ああ、この学校入りたい。もう決まりだな。本当に調子乗ってました。

 案内されて、ついたところがここ。床は歩くたびにギシギシなった。あきらかに寿命がきている。私は指定された椅子に座った。見渡すかぎり女の子ばかり。中には男にも思えないような子がいましたが。そんなことは気にせず、1人の子に目がとまりました。妹そっくり。私には2人の妹がおりました。そんなに歳が離れているわけではないのですが、溺愛しております。いわゆるシスコン。よく妹たちにキモイと言われておりました。それはさておき、その子はそんな妹にそっくり。私はその子と友達になりたいな?っと思っていました。シンっとしている教室では、誰も口をひらく子はいませんでした。そこへ、
ガラガラ・・・
 私たちの担任であろう人が入ってきました。下を見ていた私は、足を見て男だ!と少し、いや内心すごく喜びました。女まみれの中に1人ぐらい男いてもいいなーなんて、期待値が最大に達した私は、一目顔を見ようと顔をあげました。ハッ!そこにはイケメンが・・・!なんて落ちにはなりませんでした。おじいさんまでいかなくても、おじさんだな。って思いました。聞けば歳は34才。立派なおっさんです。最悪ですね。私、思わず声にでました。小声ですけどね。聞こえてなかったようで、担任らしき人物は挨拶を始めました。
 「この学校に入学したからには、校則は守ってください。言っておきますが、ここは自由が一切ありません。今日から頑張ってください。」
ピシッ!
 効果音付きです。本当に聞こえたんですよ。空気が固まった音が。私たちは、とんでもないところに放り込まれたみたいです。この先どうなるのやら。
 本日をもって剛田路子、女子高生になりました。

女子校生活スタートです。

 「出席とります。」
 「出席とかあるんだ。」
どこからとなく聞こえてきました。本校は出席をとるようです。初めてだからなのか、みんな声が小さいです。そんな中、1人でかい声の子がいました。彼女の名前は佐藤(さとう)さん。後にクラスの人気者へと成長します。我がクラスの委員長は、同中だった花沢(はなざわ)さんがやっています。明るい彼女は嫌いではないのですが、キャラチェンをもくろんでいた私にとって、最悪でしかありませんでした。我がクラスには、もう1人同中だった子がいました。その子もまた私にとって、最悪でしかなかったのですが。私、剛田は継続して陰気なままになりそうです。
 
 中学時代、気になる男の子がいた私。保育園のときから一緒だった子で、遊んでたりしてたんだって。当時、おばあちゃんに送り迎えしてもらってた。だから、おばあちゃんは同じ保育園にいって子たちと仲がいいというか、会えば私の話をよくしているらしく、昔話をする度に思い出すんだって。今も純粋な私だけど、昔はもっと純粋で、汚れを知らない良い子だったのにって、よくおばあちゃんに言われる。さて、その男の子との仲を説明したところで話に戻るけど、とにかく私はその子が好きだった。小学1年生になったとき、同じクラスになれたことを喜んだのを覚えている。でも・・・その子はなぜか、私を殴るのだ。しかもグーのときもあれば、蹴られたときもあった。それから大嫌いになって、私はしゃべることを遠慮するようになった。しゃべるとその子が私を殴るから。あれから随分経つのに、未だに私は陰気なまま。その男の子は今、私の親友といい感じ。今ではいい思い出。にはならなかったし、恨んでるし、会えばむかついてしかたないけど。でも、それは私が諦めたから。明るくなることを恐れたから。だから今こんなに後悔してるんだなーっなんてちょっといいこといってみたり。

 いつの間にか出席も終わって、先生とお話タイム。
 なんの話しするのか知らないけど、私はこっそり隠れて新品のノートに落書きしてみたり、している。なに書いたのかは言えないけど、まぁ、綺麗な場所を汚く濁らせたってとこかな。なに書いたのかは秘密だけど。そしてお決まりの質問ターイム!後ろの方で誰かがヒューヒューって、聞こえなかったけど、始まった。
 「なんでも聞いていいですよ!」
にこやかに気分よく、担任。
 「とくに聞きたいこととかないです。」
と、生徒から厳しい言葉のパンチを受ける担任。
我がクラスの担任は頼りないひ弱なヤローのようです。ガックシ。
 「じゃぁ、自己紹介!1人ずつしてもらいましょうか。」
ゲッ!いきなり何を言い出す我が担任よ!別にしなくていいよ!聞きたくないし、聞いてもどうせあれだし。あれってなんだよってツッコンでくれそーな子がいるわけでもないし。だけど担任は、いい思いつきをしたとか思ってるのか、満面の笑みをニタニタとギラつかせ、自己紹介を楽しみにしているご様子。
 「じゃぁ順番に。出席順で!」
その顔腹立つんだよ!本当になんてめんどくさいことをいいだすんだとばかりに、1人ずつ自己紹介した。そして私の番が回ってきた。なに言えばいいんだ!えーっと、ええい!適当にいったれー!!
 「剛田路子です。卓球部に入ってました。えっと、B型です。○○中学でした。」
こんなもんだった。他になに言ったか覚えてないけど、こんな感じで順番バラバラに言ったと思う。
どん引きで幕を閉じた自己紹介。早く名前を覚えなくてはいけないな。

部活、入りましょう。

 高校入っても卓球を続けるに決まりだな!実は、もう私は入学する前からお誘いきてましてね。卓球、やってるんですよ。だから部活は自動的に卓球部です。それに、この学校にした1番の決め手でもあるしね。先輩たちとも上手くできるだろうか心配だったけど、優しそうだし!見た目ゴツい感じの人いるけど。私は部室にさっそく行きました。さてさて、ご対面です。
 「あの、剛田です。」
 「あぁ。着替えて用意して。」
 「はい。わかりました。」
なんか声きつい感じしたんだけれど・・・気のせい?
 「「こんにちはー!」」
 「こんにちはー・・・」
他の1年生も来たみたいだ。背の低い可愛らしい感じの子と、笑うと笑窪ができるお姉さんみたいな感じの子。後もう1人は、目が細くてハツラツそうな子。仲がいいのか一緒にいる。
 「えっと、もしかして、お兄ちゃんの先生の・・・?」
 「ん?・・・あぁ、会うの二度目ですね。」
 「確か、路子ちゃんだよね?」
 「うん。私卓球部入ろうと思って。」
 「じゃあ一緒だね!よろしくー。」
 「よろしくー。」
この子とは1度会ったんだけど、お母さんの生徒さんだった人の妹さんらしい。実は入学式のときに会ってたんだけどね。向こうは覚えてたのかよくわからなかったから言わなかったんだけど。
 「1年生、台出す用意してなー。それが1年生の仕事の一つやから。」
えぇー、めんどくさいなー。一番に来た奴がやればいいじゃんかー。なんて思ってるのは私だけなのか、みんな文句一つ言わずに用意にとりかかってる。私もやらなきゃダメだな。他と違うことして目つけられても困るし。
私は中学のときから卓球やってるけど、みんなはどうなんだろう。台のネットの張り方知ってるみたいだし、やっぱり中学のときもやってたのかな。知ってる子いないんだけどな・・・向こうもそうみたいだし、そんな強くなかったみたい。あれ?あの子は知ってる。でも向こう気づいてないみたいなんだけど、会ったのって、たしか・・・
 「あの、私に会ったことないかな?」
 「え?えっと、ないと思うけど。」
あれー?気のせいだったのかな?でもなんか記憶がはっきりしてきた。
 「総体のときだよ?試合、したことあるよね?たしか学校、○×中学?」
 「うん。○×中学だったよ。なんで知ってるの?」
 「試合したの覚えてるから。えっと、3回戦目に当たった。」
 「うん、ごめん覚えてない。ごめんね?」
 「ううん、いいよ。」
そのとき私は地雷踏んだんだろうな。だってその試合、私が勝ったから。しかも3-0で。忘れたくなるよね、私も忘れたい試合が何個かある。このとき私はまだ知らない。彼女たちの地雷が、一つや二つじゃないことに。
ははは・・・

お友達です。

 クラスでは、いくつかのグループに別れだした頃、私はどこにも所属するのでもなく、お友達を募集しております。なんで今にもなって友達作んなかったのかって?それは・・・合う子がいないからと言うしかないですね。中学のときはそれはもうキャラの濃い人たちといましたので。ここへ来てまだ会ってないのですよ、私の理想のお友達とやらに。それにね、話しかけてはいるんだけど、なんてんだろ、知識少ない奴ばっかなんですよね。好きなアイドルグループの話しをしようと思えば、なにそれの連続。話しがあまりにも続かないし、私がしゃべっているということに、驚きを隠せない同中の子もいるし。
 「えっとさ、アニメとかって見る?」
 「あんまり見ない、かな。」←ガラガラ声で再生してください。
 「じゃ、じゃあ、嵐知ってるよね?私ファンなんだ!」
 「・・・あんまりよく知らない。」
ちっ!話し続ける気あるのか?これじゃあ一向に続かない!
 「じゃあ、なにが好きなの?」
 「平成ジャンプとか、かな。かっこいいよね。」
 「あはは、そうだねー」
嵐ファンだっての!他のグループにはあんまし興味ないんですけど!普通じゃないよ!
 「・・・・・・」
 「・・・・・・」
これで私の友活は終了しました。
もぅダメだ!ここには私の求める友人となってくれる子はいない!中学生に戻りたい!みんな、他に友達できたりしたのかな?私たち以外に友達できたりしてるのかな?
私は辺りを見渡した。教室では、新しくできた友達と、楽しく話してる。なんか、どうでもよくなってく自分が、すごく惨めだ。1人孤独になっちゃうのかな?孤立しちゃうのかな?ヤダヤダ!せめて弁当一緒に食べてくれる子いないかな?。さすがに弁当1人で食うのは抵抗がいるよー。
 「剛田さーん!携番教えて?!」
誰?あの逆光すら見えないほど輝いているあの子は!まさに私の救世主・・・
 「う、うん!私のでよければ!是非!」
 「ありがと?!じゃあ、これ、私の携番とメアドだから!」
 「うん!わかった、メールするね!」
 『了解?。あ、今日一緒に弁当食べようよ。』←エコー掛かりました。
 「うん!うん!」
 「あはは、じゃあ後でね?。」
よかった!これでしょっぱい弁当食べなくていいんだー!このとき話しかけてくれたのは、石山さん。クラスでも1・2を争う秀才で、しかもクラス1優しい女の子!この子くらい完璧かつ女の子な雰囲気持ってないと、女子校にいながら彼氏作るなんて無理な話しだよ。もちろん剛田、彼氏いませんでした。できそうな機会をいくつも逃したからなのかもしれませんが、お母さん曰く女じゃないからできるわけない、だそうです。ちなみに妹からも同じ言葉をいただきました。彼氏なんざいらない!な?んて今になっては言えなくなりましたが、今更どう足掻こうとできるわけじゃないのでね。剛田の友達は彼氏ができては別れ、また彼氏ができたら浮気し、また彼氏ができれば別れるを繰り返してばかりでした。内心そんなモテる友達が羨ましい気持ちがなかったわけではありませんが、私は絶対浮気しないな、などと思う始末。まだ彼氏もできたことないのに。
剛田、彼氏を絶賛募集中です!

女子高生の現状

女子高生の現状

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-03-26

Copyrighted
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  1. 本日、入学いたしました。
  2. 女子校生活スタートです。
  3. 部活、入りましょう。
  4. お友達です。