醜いレース場

醜いレース場

誰が一番だ?そんな事はどうでもいい……


ハンドル握って通勤ラッシュ、
電車と違って不規則に。

線引きされたコースでは、
色んな個性が出たり引いたり。

ぼくは普段通りに相変わらず、
左のほうでノソノソと。

慌てなくてもいつか着く、
ましてやこんな狭い国。

慌てん坊や寝坊助たちは、
ドンドン先を急いでゆく。

大きさもマチマチな、
派手な者も過ぎてゆく。

ココは朝のレース場、
一番二番の価値観は、
知ってる者ほどゆっくりと。

だから左でノソノソと、
毛虫のレースだ!
それでいい。

無事に着いて事済ませ、
帰りには赤く光る蛍たち。

虫たちは決して争わない、
ここはおかしなレース場。

人が争う醜いコース、
人生という中の、
一瞬だけ重なるレース場……と、

毎朝道端の虫たちが、
笑って眺める声がする。

醜いレース場

醜いレース場

虫たちは、争わないし煽らない。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-10-19

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