醜いレース場
誰が一番だ?そんな事はどうでもいい……
ハンドル握って通勤ラッシュ、
電車と違って不規則に。
線引きされたコースでは、
色んな個性が出たり引いたり。
ぼくは普段通りに相変わらず、
左のほうでノソノソと。
慌てなくてもいつか着く、
ましてやこんな狭い国。
慌てん坊や寝坊助たちは、
ドンドン先を急いでゆく。
大きさもマチマチな、
派手な者も過ぎてゆく。
ココは朝のレース場、
一番二番の価値観は、
知ってる者ほどゆっくりと。
だから左でノソノソと、
毛虫のレースだ!
それでいい。
無事に着いて事済ませ、
帰りには赤く光る蛍たち。
虫たちは決して争わない、
ここはおかしなレース場。
人が争う醜いコース、
人生という中の、
一瞬だけ重なるレース場……と、
毎朝道端の虫たちが、
笑って眺める声がする。
醜いレース場