トビツカミ

トビツカミ

やれやれ、もうそんな季節かぁ……


予報が誤りか、
間違いはこの空か?

衣が余計に要る頃に、
いたずらにも雨が降る。

いつもの予報はアテにならず、
感じる空気もわかりにくく。

元気に散歩に出かけた猫も、
これでは毎度(マイタビ)一緒のお風呂へ。

猫は空気に敏感で、
勢い任せて家跳び出す。

鳥に誘われているのか、
虫たちに会いにゆくのか。

それとも真夜中の、
この頃賑わう集会所か?

いずれも衣も持たずに跳び出して、
猫と言えども風邪を引く。

心配しながら月灯りの、
遠くまで見える視界の中。

軒先で一服煙をふけば、
地面にぼんやり小さな影が。

今夜も疲れ切って帰宅した、
お帰りー!
さぁお風呂へ一緒に入ろうか。

濡れる代わりにとびつかみ、
顔や背中にいっぱい付けて。

毛並みが逞しい影大きく、
凛々しくなったか尻尾が立つ。

しかしご主人ご機嫌斜めで、
一つ一つ取らねばならない。

還るは猫は喜ぶ顔も、
雨より厄介なトビツカミだな……

トビツカミ

トビツカミ

猫飼いなら思い知る、宿命の季節に……。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-10-17

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