不在
嗚呼、なんと、なんと口惜しいものか。
言葉は心の具現かな、心は言葉の具現かね。
操るべくを見誤る、黒い意識に苛まれ。
怜悧な日々が眼を覗く、研いだ刃先が煩わしいな。
言葉は私の傀儡か、私が言葉の傀儡よ。
どうか純水をやって呉れ。
人間、性格というものは治療すべきものではないと思わぬか、私は思わぬ。
脚は有る程、人を包むと思うかね。否、私は思わぬ。
曲線が判らなくなった時、天からの声で目を醒ます。
「お前さん、お前さんよ。いかで視認できぬ類に拘泥するか、其の迷妄さたるや。」
愈々、私は狂ってしまった。
自身の解れを見過ごしたツケだ。
まだ見続けたいものは在るか。否、既に失せたさ。
便りは疾うに海底万里。
天を仰げば宇宙が鈍色。
不在