【声劇台本】出会ったのは紛れもないイケメンだった

メイロラ


カナデ(♀)
マドカ(♀)
ハル(不問) 男性もしくは男性を演じられる女性


■■■


カナデ:もうどうしたらいいのー! 緊張してどうにかりそう、マジ死ぬ、無理!

マドカ:うるさいな……寝てたのに、急に電話してこないでくれる?

カナデ:だってこれから会うんだよ! あのハルくんに! 人気急上昇中の歌い手ハルくんが私に会ってくれるって! 信じられない! ただの一ファンだったのに! 初めて通話したときも緊張したけど、実際に会うとかもう無理―! 黙ってたら死ぬ! 無理!

マドカ:だからって私に電話してこないでよ……会って見たら普通かもしれないじゃない。

カナデ:……と思うでしょ!? それがね! なんと写真交換したのだよ! そしたら、これが、めっちゃイケメン! 信じられる? 

マドカ:どうせ修正してんでしょ。

カナデ:そんなことないって! 修正しててもあれは無理! なんで私会うとか言っちゃったんだろう。近くまで来たからお茶でも、って言われてつい……緊張で死ぬー! 死因緊張!

マドカ:はいはい。

カナデ:あ、きた……あれだ、多分、あれだ! 近づいてくる! どうしよ! どうしよ! 

マドカ:はいはい、切るよ。がんばって。

カナデ:まって、まって、まって?

ハル:……おまたせ、カナデちゃんだよね?

カナデ:は、はい!

ハル:電話大丈夫? 切らなくていいよ? 話し終わるまで待ってるから。

カナデ:いえ、違うんです! その……もう終わりました! なんでもないんです!

ハル:(笑う)緊張してるの? かわいいなカナデちゃん。写真で見るより全然かわいい。

カナデ:そんなハルくんこそ、めっちゃかっこいいです! 写真より全然いいです。生声もすごくいい声だし!

ハル:ほんと? そう言ってもらえると嬉しいな。じゃあ行こうか。

カナデ:……は、はい!

ハル:あの、かなでちゃん?

カナデ:……は、はい!

ハル:まず、右手と右足一緒に出てる。

カナデ:うぁあああ! ……す、すみません。

ハル:あやまらなくていいよ。それと、カナデちゃんはこっち、女の子は歩道側ね。

カナデ:あ、ありがとうございます。


カナデM:1時間後。カフェ。


カナデ:だってしょうがないじゃないですか!

ハル:ははは、意外とドジなんだねカナデちゃん。

カナデ:だってしょうがないじゃないですか、鍵をなくしちゃったんですよー!

ハル:だからって普通マイナスドライバーで破壊しないでしょ、もう……ああ、なんかすごく楽しいな。

カナデ:は、はい、私もすごく楽しい、です。話してみたらハルくん、すごく気さくで優しくて、なんか夢みたいです。

ハル:俺もだよ、思い切って誘ってよかった。

カナデ:あの……なんで私を誘ってくれたんですか?

ハル:なんでって、メッセージやりとりしたり通話したりして、すごく気があうなって思ったから。迷惑だった?

カナデ:いいえそんな! 私にとってハルくんは憧れの人で、まさかこんな風に会えると思ってなかったから……その、夢みたいで。

ハル:いや、俺は歌配信とかやってるけど、一般人のつもりだし、普通に話してくれたほうが嬉しいな。カナデちゃんとも友達になりたいし。

カナデ:は、はい! ……が、がんばります。

ハル:(笑う)がんばらなくてもいいよ、本当にかわいいなカナデちゃん。……ごめん、ちょっとトイレ行って来る。

(ハル去る)

カナデ:無理! 無理! ほんともう無理!(電話かける) マドカ!マドカ!?

マドカ:今度はなに?

カナデ:無理、かっこよすぎる!

マドカ:あっそ。

カナデ:やーもうホント無理。好きになるーてかもう好きかも。今すぐ入籍したい勢いで好きかも。私お持ち帰りされるの? ああでも尻の軽い女とか思われる? どうしたらいいのー?

マドカ:落ち着きなさいよ。

カナデ:無理、落ち着いてられない! どうしたらいいのー?

マドカ:しらんがな。

カナデ:あ、帰ってきた、まずい!

マドカ:……ちょっと?

カナデ:(電話を隠す)あ、おかえりなさい。

ハル:……ちょっと困ったことになった。

カナデ:え、どうかしたんですか?

ハル:あのさ、カナデちゃん。……タンポンって持ってない? 

カナデ:え?

ハル:いや、さっき急に始まっちゃって。おかしいな、予定では三日後なのに。

カナデ:……え?

ハル:あ、もちろんナプキンでもいいよ?

カナデ:……はあ……どうぞ。

ハル:あーありがと、助かる! ちょっと待っててね。(去る)

カナデ:……ちょっとまって落ち着こう。えっとほら、あの、あれよ! 昨今、男性の女性化が問題になってるじゃない? だから男性でも生理のある人がいてもおか、しくないわけないよね! さすがにそれは時代を先取りすぎよね? え、え、なんで、なんで、どういうこと? ちょっとまって、よく思いだそう……確かにプロフに性別書いてないし、一度も男性ですか?って聞いたことはなかった……そういえば、胸に少しふくらみがあった、ような……胸筋じゃなかったのかー!!!!(電話かける)
マドカー! マドカー! 緊急事態!!! どうしたらいいのー!!

マドカ:何度も何度もしつこいなー、デートに集中しなさいよ。

カナデ:それがデートじゃなかったかもしれないの。どうやら……ハルくん、女みたいなの!

マドカ:あっそ。

カナデ:そうなの。

マドカ:で?

カナデ:で?

マドカ:それの何が問題なの?

カナデ:逆に何が問題じゃないの? 女だったんだよ? 好きになりかけた私の思いはどうなるの? 

マドカ:いいじゃん別に。

カナデ:無理だよー女同士とかさ、ほら、あっちとかどうすればいいかわからないし! いや、そういう問題じゃないけど、なんというか。

マドカ:ああ、あっちね。それは私が今度教えてあげるよ。

カナデ:え?

マドカ:言ってなかったけ? 私もバイセクシャルだからさ。

カナデ:……え、ちょ、ちょっとまって……理解が追いつかない。親友のそんな重大なカミングアウト今言われても処理しきれない……

マドカ:まあ、そういうわけだから、大丈夫大丈夫。

カナデ:そうなのかな……そういわれればそんな気も……って、いやいや違うよね? あ、ハルくん帰ってきた(電話切る)

マドカ:もしもしー?

ハル:ごめんね、おまたせ。

カナデ:ううん、全然!

ハル:そう、よかった。

カナデ:……

ハル:……

カナデ:あの

ハル:なに?

カナデ:さっきから、なんでじっと見てるんですか?

ハル:ごめん、かわいくて、見とれてた。

カナデ:ああ……! それは、それは私だって。ハルくんはやっぱりかっこよくて、ああもうどうすれば……

ハル:どうしたの体調でも悪い? 疲れさせちゃったかな? そういえばもうこんな時間だね。ごめんね気が付かなくて。そろそろ帰ろうか?

カナデ:あの、ハルくん!?


ハル:ん?

カナデ:あの、その……

ハル:どうしたの?

カナデ:えっと、だから、その……

ハル:ん?

カナデ:こ……

ハル:こ?

カナデ:今度、いつ会えますか!?


END

【声劇台本】出会ったのは紛れもないイケメンだった

【声劇台本】出会ったのは紛れもないイケメンだった

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-10-12

CC BY-NC-ND
原著作者の表示・非営利・改変禁止の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-NC-ND