ノートのじかん


あふれてるんだね?きっと。言葉がさ、はちきれそうなんだ。見てわかるよ。もう声にだしてしまいたい。
いいよ。聞くからさ。駄目なんだ、発話じゃ。
音にしたら消えちゃうんだ。どうしたいの?少しづつ壊さなきゃ駄目さ。
壊すの?そう壊す。すごくいいと思う。
壊して。(壊して)
今すぐに。すぐにじゃなきゃ。

白紙のノートを買った。
それと透明色のクリアファイル。
始まりって気がする。とてもする。
これで降ってきたものいつでも書けるんだ。
そうだよね。デジタルはだめ、鉛筆でね。なぞるよ。そう。

やばい。どこかに向かってひっぱられた。誰に?何かに。ここに戻ってこれてよかった。
また戻ってきたみたいだ。とにかく。何もなくたって文章を書く。それっていいよね。
すごくいいよ。上機嫌なら好きな歌を口ずさむように。頭に浮かぶことを、さらさらと。リズムがある。空気感がある。みんな自分の文章がお気に入り。鼻唄のように。好き。何が。好きだよ。あれもこれも好き。たとえば?ぜんぶなんだ。そう。たとえば明日から聴こえてくる音とか。頭痛からはじまった昨日とか。
そんなこと言ったって。好き。あますところなく。ただ。

ノートのじかん

ノートのじかん

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-10-12

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