たまごのゆめ

不波 流

この作品は1985年に公開されたアニメーション映画『天使のたまご』の印象に基づき、童謡詩人・金子みすゞの作風を模倣して書いたものです。

「あなたはだあれ?」
誰かがわたしに(たづ)ねます
わたしはひとつのたまごです

ほのあたゝかな暗がりで
ずつとゆめを見てゐます

きっとわたしは小鳥です
明るい森の 木の(こづへ)
かはいい(こゑ)で歌ひます

いえいえきつと渡り鳥
広いお空をどこまでも
遠くをめざして羽ばたくの

いつになつたら かへ()るかな
明日になつたら かへ()るかな



「あなたはだあれ?」
わたしは誰かに(たづ)ねます
わたしはひとりの女の子

だあれもゐない暗い町
()つとわたしを見てるひと

夜には魚が泳ぎます
〈影〉が魚を追ひかけて
(もり)を射ちますつぎつぎと

風吹き抜ける丘の上
黒いおほきな方舟(はこぶね)
雨風(あめかぜ)とゞかぬわたしのいえへ

いつになつたら かへるかな
明日になつたら かへるかな



「あなたはだあれ?」
わたしはあなたに(たづ)ねます
わたしはあなたのたまごです

ちひさく燃える焚き火の火
あなたはわたしを見てゐます

わたしは殻の内側で
見知らぬ世界を夢見つゝ
あなたのそばで眠ります

雨風やめば朝が來て
やがておひさま昇るでせう
そしたらお空に羽ばたきます

いつになつたら かへ()るかな
明日になつたら かへ()るかな


いつになつたら かへ()るかな
明日になつたら かへ()るかな

たまごのゆめ

たまごのゆめ

この作品は1985年に公開されたアニメーション映画『天使のたまご』の印象に基づき、童謡詩人・金子みすゞの作風を模倣して書いたものです。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-10-10

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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