⬛︎声劇台本「沖田メンタるクリニック①」
配役
沖田
ゼウス
合計2名 予測時間15分〜20分
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ゼウス: あのう、すいません、ここが沖田メンタルクリニックで合ってるじゃろうか?
沖田: ああ、患者さん?受付は済まされました?
ゼウス: あの…それが…わし保険証とかはもってなくて…
沖田: あ、もしかして神々の方?
ゼウス: あ、はい、そうですな…
沖田: えーと、雰囲気かなり厳かなのでオリュンポス系の方かな?
ゼウス: あ、わかりますかの?一応、その、オリュンポス達の父的ポジションといいますかの…
沖田: えー!もしかしてゼウスさん?わ、ちょっと身体触ってみてもいいですか?
ゼウス: あ、どうぞどうぞ。大丈夫かの、ケラウノスしちゃわないかのう。
沖田: でた!ケラウノス!雷の鉄槌ですよね!…あ、肌に触れた瞬間ちょっとぴりぴりする!凄いですね!わあ!光栄だなあ!こんな位の高い神様に来て貰えるなんて!
ゼウス: な、なんだか照れますなあ…
沖田: いやぁ、感激ですよほんと!!…で、本日はどのようなご要件で?
ゼウス: あ、はい、その…実は…そのですな?多分はい…わしがどのような神なのかー…というのはその、先生ほどのお人なのであればご存知かと思うのですけれども。
沖田: ふむふむ、全知全能の神、オリュンポス12神の父、ゴッドオブゴッド、そうですね?
ゼウス: あー…ははは…ええ、そうですな、表向きには確かにそうです。が、わしは…その…なんと言いますか…
沖田: あー…なるほど、言い難いほうの…あれですね、性欲が強い?
ゼウス: そ、そうです、そうなんです。わし、どの神様よりも性欲が強くって、その、昔はわりかしブイブイ言わせておったのですよ。
沖田: あー、確かに。問診票を見る限りでもなかなかですね。わー、これはすごいな、動物に化けて、とかも?
ゼウス: あ、あはは…わし、わりと色んな嗜みが好きでして…。
沖田: ええ、ええ。わかりますよ。男ですものね。…で、本日はその関係である…と?
ゼウス: その…はい。なんとも…お恥ずかしいのですが…
沖田: はいはい。
ゼウス : …誰にも、いいませんか?
沖田: もちろんです。私には守秘義務がございますからね。ここでお話頂いたことは誰にも漏らしませんよ。
ゼウス : そ、それなら…よかった…その、そのぉ……わし…なんと言いますか…その…
沖田: 落ち着いて。ゆっくり。
ゼウス : (深呼吸)わ、わし勃たんのですよ!!!
沖田 : !!!?た、たたない…
ゼウス : そうなんです!沖田先生!!うん万年の時を過ごしてきてこんなことはじめてなんです!!わし!!わし!!あんなにも好きだった柔肌にも!!!豊満なアフロディーテにも!!!精霊にも!!馬にも!!!妻にも反応せんのです!!!!
沖田 : おー……なるほど……それは…その…
ゼウス : つらいのです先生…巨人たちが攻めてきたときより、実の父を政権の為に殺めたときより…なによりもいまがつらいのです……
沖田 : 男の勲章、という部分でもありますからね…お気持ち…お察し致しますよ…
ゼウス : わかっていただけますか…先生…
沖田 : わかります、わかりますとも。
ゼウス : 隣の神話の、イザナミさん?イザナギさん?のところの初々しさが羨ましいんです…
沖田 : なるほどなるほど。
ゼウス : あら、あたしには窪みがある、おろ、僕には突起がある。よし、あわせてみよう!そんな!そんなウブな!そんなウブなやり取りが!わしには!わしにはないのですよ!!もう!神としても!!男としても!!超越しすぎてしまって!!!わしにはその!!ミラクルで!!エキセントリックな感情が!!
沖田 : 落ち着いて…ゼウスさん…落ち着いてください…
ゼウス : せんせぇーーーー!わしは!わしはもうどうしたらよいのか!!わしはーーー!!
沖田 : まず落ち着きましょう、ゼウスさん。お気持ちはわかります。でも、焦るのも良くない。大事なのは自分と向き合うことです、そうでしょう?
ゼウス : …すみません、わし、もう、ヤキモキしてしまって…。
沖田 : 奥様はなんと?
ゼウス : …妻は…妻のヘラは……そんな使い物にならないモノなら…ぐす…ぐす…い、インドの神のところにいって……ぐす…象の鼻と取り替えてこいってぇ…
沖田 : ありゃりゃ…んー、困りましたね?いつごろから症状が出てますか?
ゼウス : 厳密に言えば…そうですのう…うずらに…化けてやったときですかの…
沖田 : …うずら?
ゼウス : …うずら。
沖田 : うずらというと、あの、うずらのたまごのうずらですか?
ゼウス : ええ…そのうずらです
沖田 : お相手は?
ゼウス : その…女神…ですな
沖田 : あー…人型…ですよね?
ゼウス : はい…もちろんです
沖田 : むしろそんなアブノーマル繰り広げてよくも勃たないなんて言えたもんですね!?僕はいまむしろあなたにその時のことを個人的に根掘り葉掘り聞きたいくらいですよ!
ゼウス : いやー…でもあの時は割と最後まで満足のいく形で終われてたので違うかもしれませんの…
沖田 : そりゃそうですよ!うずらですよ!?うずらVS人間ですよ!?もう、なんていうか、もう!!想像すらできないこの脳みそが嘆かわしい!!ああ、神よ!
ゼウス : もしかしたら…雨に化けた時からかもしれません…
沖田 : あーーーーーーーめ!!?あめ!?あめ!!!!!?どういうことですか!?え、プラトニックなやつ?プラトニックセックス?え、ちょっとごめんなさい、わからない、私わからなくなってきました。
ゼウス : いやぁ…ははは…
沖田 : どういうことですか?え?詩的な?詩的な意味です?実はロマンチストですか?雨に濡れながら私の心も身体もずぶ濡れに濡れたとかそういう?そういう比喩表現的なやつですか?
ゼウス : いえ、もうそれはもう堪能しまくりましたですな。どストレートに物理的に。
沖田 : 雨で!?雨の状態で???!
ゼウス : え、ええ…
沖田 : あ、わかった。わかりましたよ。あれですね?お相手は大樹だったり、草や花の妖精とか、そういうことですね?
ゼウス : いえ、王女でしたの
沖田 : にんっっっげん!!!!!!
ゼウス : やはりその時にちょっとばかり、あ、これはわしがしたい事と少し違うかな?と思ったのは確かなんです。そのあと何度も妻のヘラから誘われてはいたのですが、なあなあにしつづけ数千年…さすがにちょっとまずいと思いましてのう…
沖田 : …ん…ごほん…少し取り乱してしまいました、申し訳ありません。そうですね、おそらくですが倦怠期なんだと思うんですよ。そこまで行くと。アブノーマルな事をし過ぎてしまった結果、飽きてしまっていると。
ゼウス : なるほど…
沖田 : それが身体への影響としてEDとして出ているんだと思うんですね。
ゼウス : 先生、どうしたらいいのでしょう。
沖田 : もうここは正攻法で行くしかありません。薬を使いましょう、もうそれはそれはすンごいのを。使って、バンバンビビンビンに元気になって、奥様とノーマルな夜を過ごしてみてください。
ゼウス : あえて普通に、愛を育むということですな?
沖田 : その通りです。それでダメならもう、インドまで行ってほんとにゾウの鼻に変えてもらいましょう!逆にね、逆に喜ばれるかもしれないですし。
ゼウス : ああ…ありがとうございます先生…わし、わし頑張ってみますわい!
沖田 : ええ、ええ、頑張っていきましょう。心の病は絶対に治ります。おだいじに!
(少しの間を置き
沖田 : ふう、やっと今日の診察は全て完了。あ、ご紹介が遅れました。わたくし、この沖田メンタルクリニックの院長をしております、沖田、と申します。びっくりでしょ?うちはああいった少し特殊で特別な患者さんも受け入れしているんですよ。さながら本当の意味での精「神」カウンセラー…といったところですかね?ふふ、ちょっとしたジョークです。…ん?おや?こんな時間に電話とは…はい、お待たせ致しました、沖田メンタルクリニックの沖田が承ります。あ、どうもどうも、ガネーシャさん!お久しぶりですね!あれからお母様はいかがですか?ちゃんとパールバティのままでいられてます?あ、たまにカーシーっちゃう?あー、なるほど、まだお薬は減らさないほうが良さそうですね…っと、え?今日はちがう?ふんふん、え、あー…なるほど…?自分の鼻を?股間に付けたがっている男に?毎日追い回されて困っている…?1度カウンセリングを受けたい…と、ははは、かしこまりました。それにしても、困った男がいたもんですね…ははは。
沖田 : ええ、いつでもご来院ください。ここは、沖田メンタルクリニック。24時間、神様ですらいつでも受け入れますからね。
⬛︎声劇台本「沖田メンタるクリニック①」