⬛︎朗読詩「捕鯨」
鯨
#捕まえる為に
まず綺麗に梳いた。
きらきらと剥がれる、
わたしとわたしの証明を
食事のように、
口に運ぶように、
摂取するように、
喰らい尽くすように、
そこを梳いた。
それを梳いた。
#朝食
ひたひたとなる、
牛乳に浸かったシリアルを
スプーンで潰す。
だけでよい。
#α波
そこにはいない。
#解体作業
底にいた。
ゆっくりと沈む、
大きな瞳をさせたまま。
世の中のすべてと、
わたしのことも、
すべて喰らったあとで、
ゆっくりと沈む。
綺麗に梳いた髭から、
明日の温度もわからぬ、
きらきらの幼子たちが出てきて、
#朝食(そして)
それをスプーンで潰す。
⬛︎朗読詩「捕鯨」