鉄橋

 枕にしかかっていた頭が自然と浮き始め気づくとべっどの上に直立していた。目が覚めた私は大顔を洗面所で何度も洗った何度も何度もごしごしと洗うと皮膚がぼろぼろに崩れて赤い砂になった。唾を吐くと白いぺんきになった。洗面器をどこまでも白く染めた。
 てくてくと服を着ながら家を出ると「時代塔」と看板が立てられていた。これはなんだろう。看板の周りにはなにもない。私は看板の周りをぐるぐる回ったり横歩きで通り過ぎたりした。それと同じように流れるような手つき鳥のものまねをして看板に近づくと地面から塔が現れた。どうやら鳥が好きらしい。私はこの塔が好きなった。
 塔の中は見た目より広くとても寂しかった。雨漏りの音と金属が響く音が同時に聞こえたからだ。階段を探してみると部屋の隅に鋼鉄の螺旋階段があった。私はそれに足を運んでかつかつと昇っていた。かつかつかつかつ。二階についた。そこでは沢山の車が走っていて沢山の建物がせめぎ合っていた。灰色の街だった。私は近い未来にはこんな風景が当たり前になるんだろうかと思いながら三階を目指した。
 3階は沢山の機械と沢山の人が音を立てていた。気づけば雨漏りの音は聞こえなくなっていた。機械の大統領が人間機関の本格的な運用を始めるらしい。私にはよく分からなかった。金属質な感覚だった。人もいたけど、みんなかたくて冷たくてぎらぎらしていた。私は4階がどんな場所か不安になった。それでも4階を目指した。
 4階はなかった。螺旋階段は無限に続いてるみたいに伸びていたくせに。その代わりにどこかわからない場所にたどり着いた。街は赤い砂に覆われていて海は真っ白なぺんきだった。私はその風景を眺めていた。いつまでも、いつまでも眺めていた。
 ひゅうひゅうと風が吹いてぺんきの海が揺れていた。赤い砂は私の体に当たるとさらさらした感じを与えた。ああ、さらさらの世界、おやすみ。
 

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-10-01

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted