幸せのせいで

弱さを隠したくなかった
嘘をつきたくなかった
だから嫌なことは嫌だって
好きなことは好きだって言いたかった

君を見つめていたかった
今を生きて居たかった
でも近くにいけば行くほどさ
何処か都合が悪くなってしまった

傷を見たくなかった
過去を知りたくなかった
でも今更どうしようもなくて
飾って笑う僕だった
でもさ 無理だった

いつか幸せにするって言ったけれど
たまに幸せに出来たと思うんだ
いつか君を守るって言ったけれど
たまに守れたと思うんだ
それでいいじゃないか
本当に好きで好きで仕方がなかったのにさあ
僕のせいでさあ 君のせいでさあ 全てがさあ
台無しだよ

人生を賭けたくなかった
夢を捨てたくなかった
だから僕はこう思うって
否が応でも君に知って欲しかった

君を見つめていたかった
優しい人で居たかった
でも格好つければ作るほど
徐々に化けの皮が剥がれてしまった

傷を癒してあげたかった
未来を見せてあげたかった
でも今までそんな経験はなくて
手探りで生きる日々だった
でもさ 無理だった

いつか幸せにするって言ったけれど
今も幸せで居ると思うんだ
いつか君を守るって言ったけれど
今も守られてると思うんだ
それでいいじゃないか
本当に好きで好きで仕方がなかったのにさあ
僕のせいでさあ 君のせいでさあ 全てがさあ
ぶち壊しだよ

あんなに見た顔もさ
言い合った名前もさ
過ごした時間もさ
行った場所もさ
話した事もさ
幸せのせいで
辛さのせいで
今全てがさあ 光に吸われて行く
あんなに聞いた過去もさ
夢見た未来もさ
費やした刹那もさ
生きた瞬間もさ
ああした事もさ
幸せのせいで
辛さのせいで
今全てがさあ 未来に吸われて行く
青い 青い 空に吸われて行く

いつか離れていった君とさ
今会ってみたいと思うんだ
いつか枯らしてしまった花にさ
もう一度水をあげたいんだ
そしたらどんなにどんなに綺麗だったろうな
僕のせいでさあ 君のせいでさあ 全てさあ

いつか走っていった君のさ
手を掴みに行きたいんだ
いつか泣かせてしまった夜にさ
涙を拭いに行きたいんだ
いつか消えていった心のさ
愛を掴みに行きたいんだ
いつか泣かせてしまった時をさ
乗り越えて生きたかったんだ

幸せのせいで

幸せのせいで

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-09-30

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