Angel

Shino Nishikawa

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天使たちの物語

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Angel【梅子】1
「梅子、お父ちゃんとお母ちゃんは、地主の家に出かけてくるからね。」
「どうして?」
「大人の話合いがあるの。お前には関係ない。」
「ふーん。」

「アハハ!折井さんはさすがですねぇ。」
大地主の折井の家では、宴会が開かれていた。
机の上には、人肉がメイン料理として並べられている。

梅子の両親は、子供たちを守るために、地主の言う事を聞くしかなかった。
地主の折井が見たがったため、近所の夫婦が、畳に妻を倒して乗った。
すると、梅子の両親は大声で笑った。
『笑うしかないよね。』 
『そうだな。』

「お二人も何かやってくださいよぉ。」
「私たちはもう年だから、無理ですわ。」
「やってよぉ。2人だけずるいぞぉ。」

「お前‥。」
「あなた‥。」

ワハハハ!
仙は初子の頬にキスをした。

幼い梅子は、両親が地主の言いなりという事を分かっていた。
夜に、母が大声で泣いたりする声や、父親の怒鳴り声に恐怖を感じて怯えていた。

両親が仕事でいない夕方、梅子は誰もいない神社に来た。
両親が良い人に戻るように、梅子は草履を脱ぎ、百度参りをする事にした。
百度石の事は、祖母から教えてもらっていたが、さわるのは今日が初めてになる。

祖母から話を聞いた時は、気味が悪いと言って笑ったが、今日の願い事は本気だったので、さわるのはなんてことなかった。
百度石に触った瞬間、幼い梅子が気づいた事は、自分は一度、老婆を経験しているという事だ。

梅子は裸足で、両親の事を想いながら、百度参りをした。しかし、二十回目で、老夫婦が来た。地主かと思い、ぎょっとしたが、そうではなかったので、安心した。
梅子は、百度参りをしていた事がバレないように、草履を持って走って逃げた。

「今日、お風呂無しでいいな?」
梅子の父が言った。でも、梅子が一人で神社に行った事はバレていなかった。
「そうね。」
母も言った。

「梅子、風呂無しでいいな?」
「うん‥。」
拭いたので、土は取れていたが、梅子は風呂に入って足を洗いたかった。

布団の中で、足をぶらぶらと動かして、今日の事を考えた。
百度まではいかなかったものの、両親が前よりも良い人になっている気がした。

ガラガラ
兄が戸を開けた。兄は太っている。
「梅子、風呂に入りたいよな?」
「ううん。いい。」
「くそ、入りたいって父ちゃんに言えよ。」
「私、風呂に入りたくない。」

『明日もお参りに行こう。』
梅子は、毎日、神社にお参りに行く事にした。
百度参りをしようと思ったが、だんだんと人気が出てきたので、お参りができなかった。

両親の仕事が休みの日、両親は黒い服を着ていた。
「お父ちゃん、お母ちゃん、どうしたの?」
「今日は、お葬式に行くのよ。」
「誰か死んだの?もしかして、地主さん?」
「ううん、違う。角の家の永松さんが亡くなったの。梅子、お家のお留守番お願いね。」
「分かった。」
家で留守番をする梅子は、縁側から空を見た。
空は曇り空で、雨が降りそうだ。
『今、私が一人で出かけて、家に泥棒が入ったら大変だ。』
梅子はあきらめて、縁側に座り、考え事をした。

「ただいま。」
「お兄ちゃん。梅子、出かけるけどいい?」
「どこにいくだ?」
「内緒。」
梅子が家を飛び出した時、ちょうど帰ってきた両親にぶつかった。

「梅子。どこ行くの?」
「すぐに戻ってくる!」
「ダメ!」
梅子は走ったが、父親につかまった。
「一人で行っちゃダメ!!」

「どこに行くつもりだったの?」
「内緒。」

「ちゃんと言いなさい。男の子の所でしょう。うちにはお兄ちゃんがいるんだから、わざわざ男の子と遊ぶ必要ないの。」
「ちがうよ!私、神社に行ってお祈りしようと思ったんだよ!」
「え‥。」

「子供がそんな事する必要ないだろう。」
父親が言った。
「嫌。神社に行きたい。」
「じゃあ今度、父ちゃんと一緒に行こう。」
「うん!」

次の休みに、父親と神社に行く約束をしたので、梅子は神社に行かなくなった。毎日、母の隣で裁縫をしたり、主婦向けの雑誌を読んだりした。
「梅子は子供なのに、しっかりしているねぇ。きっと立派な大人になるよ。」

梅子は、だんだんと両親が好きになったが、夜、両親がまた悪い話を始めた。

次の日は、父親と一緒に神社に行く日だった。
梅子は不安げに父親を見上げた。
「どうした、梅子。」
父親は笑った。
「なんでもない。」
梅子の父親は、他の子の父親よりもかっこよくて若かったので、梅子は内心、お父ちゃんが大好きだった。お母ちゃんは太っているが、梅子にとても優しいし、お父ちゃんはお母ちゃんの事が大好きみたいだった。

でも、お父ちゃんが、地主が通ると挨拶をしたので、梅子は不満に思った。

神社につくと、2人はお参りをした。
「梅子、賽銭やるか?」
お父ちゃんは笑った。少し惜しいと思いながら小銭を取り出し、投げた。
「賽銭‥?」
「神様に願いを叶えてもらうために、必要なんだよ。」
「ふーん。」
「でも、みんな神社を直したりするのに、使われてしまうけどな。」
父親は苦笑いした。賽銭を投げた事を本当は後悔しているようだ。

神社に行った夜は平和だったが、少しすると、母親が大声で泣いたりした。
そして、両親が、地主の家に行く日がまた来てしまった。

「梅子、出かけてくるからね。お兄ちゃんと一緒に、お留守番よろしくね。」
「うん‥。」

梅子は1人で花札をして、両親を待った。
「ただいま。」
「帰ってきた。」

「おかえり。」
梅子とお兄ちゃんは、両親を迎えた。
お母ちゃんは暗い顔で、お父ちゃんは赤い顔をして、泣いた後のようだった。

「大丈夫‥?」
「うん‥。」

夜、梅子は走った。走って神社に向かった。
「神様、お願いします、お母ちゃんとお父ちゃんの事を助けてください。」

神社は静まり返っている。
「あっ、賽銭がない。」

「仕方ない。」
梅子は丸い石を投げた。
「神様お願いします。」

ザザ‥不気味な風が吹いたので、梅子は振り向いた。
そこには、とても美しい女の人が立っていた。
外国人‥みたいだ。

「石を投げていいの?」
「ダメです‥。」
「これ、あげる。」
女の人が、金貨をくれた。
「ありがとうございます。」
梅子はお賽銭箱に投げ、両親が良くなるように願い事をした。

「梅子ちゃん、願い事が叶うといいわね。」
「はい。」
「私は天使のオリヴィアよ。また会いましょう。」
「はい。」
「Goodbye」
「グッバイ。」

朝、目覚めると、梅子の下に、両親が来た。
「梅子、アメリカに行ってみたいか?」
「アメリカ‥?」
「黒田先生が、梅子をアメリカの学校に行かせてくれるってさ。」
「わああ!」

梅子は旅立つ日、両親にキスをすると、笑いながら嫌がられた。
「行ってきます!」
「梅子、元気でね。」
「うん!」

梅子はアメリカに旅立った。

兄と一緒に家を出る事となった。船でアメリカに向かう最中、最初は兄が手をつないでくれていたが、アメリカ人に話しかけられると、そっちに行ってしまった。
梅子は心細さで涙が出た。
両親の切ない気持ちを考えると、申し訳ない気持ちになった。
でも、夢の中で会った天使のオリヴィアの事を想い、祈る事にした。

アメリカにつくと、オリヴィアの魔法で、梅子は、両親の事を考えなくなった。
アメリカの小学校で勉強をしているうちに、英語も分かるようになってきた。

日本に住む両親も、勉強に励んだ。

天使のオリヴィアは、いろいろな人のお世話をしていたが、梅子は簡単な魔法でしっかりと生きてくれたので、とても良い子だと思い、気に入った。
しかし、天使のオリヴィアも契約期間が終わる日がくる。
オリヴィアは、大きな本がただよう空に来た。
そこには、人間の人生の物語が書かれた本がただよっている。
とても立派な本を見て、オリヴィアは目を細めた。
オリヴィアが一度、お世話をして、とても大変だった女性の本だ。
難しい女性で、オリヴィアは担当を外された。

「素晴らしい物語になりましたね。」
上の男の神様とお婆さんが話している。

天使の魔法をもらいすぎた人の本はとても薄い。鍵盤の絵が描かれた黒い本は、ピアニストだった女性の物だ。とても薄くて、びっくりしてしまう。

バイオリンが置いてある。とても大きい。きっと努力をしたからだ。
オリヴィアがさわると、バイオリンは綺麗な音色を奏で始めた。
オリヴィアは、もっと、その音を聴いていたかった。

オリヴィアは、天使のオリヴィアの事が好きだった人の本の間をくぐり、自分の前の人生の本に入った。

気づくと、オリヴィアは、人間になって、アメリカにいた。
でも、肉体を持ったオリヴィアは、天使の時のようにうまくいかなかった。
14才になったオリヴィアは家を飛び出した。
親や神様には言えない事もした。
天使だった時の記憶は忘れてしまっている。

16才の梅子には、母の危篤の知らせが届いたが、アメリカで長い時間を過ごした梅子は、少し狂ってしまって、両親への愛を忘れてしまっていた。
でも、梅子は、両親への申し訳なさを思い出して、夜には涙が出た。

「戦争が始まったら、日系は殺されるんだぜ。」
男の子からの言葉や、アメリカと日本の関係悪化のニュース、両親への想いに耐え、梅子は端正な顔で、身なりを整え、勉強に励んだ。

18才の時、高校を卒業した梅子は帰国する事となる。

16才のオリヴィアは何もかもうまくいかず、不良と路上生活を送るようになっていた。
オリヴィアは透き通るような白い肌にたくさんのそばかすがついていて、歯は虫歯だらけだった。
この前、空き家の中で、不良たちがした事を考えるとむしゃくしゃした。

『頭が悪い。』
そう言って、裕福な人たちは見下していく。中にはコインを投げる人もいた。

「それ、貸して。」
よく一緒にいる男の子に言った。
「これ?」
男の子は、小さなナイフを持った。
「うん、そう。」
「いいよ。はい。」

「うん。」
オリヴィアは泣きながら、自分の手頸を切った。
「なんてことを。」
「もう私の人生なんて、どうでもいいから。」
オリヴィアは赤い顔で泣いた。

「ダメだ。」
男の子は、落ちている雑誌を拾い、オリヴィアの手頸を止血した。

ちょうど、帰国しようとする、綺麗に身なりを整えた、梅子が来た。
「あら?」

「どうしたの?大丈夫?」
「あ‥。」
「これをあげるわ。」
梅子は、2人にキャンディーを渡した。

「ありがとう。」
「いいの。あら、これ、血じゃない?大丈夫?」
「平気です。」

梅子が話しかける姿を見て、裕福な男が来た。
男は、良い所を見せようと、大声を出した。
「誰か!この子達を病院に連れて行ってくれ!」

梅子は、少し男が苦手だったので、目を伏せて、男に会釈をして去った。

日本に帰ると、日本の文化の遅れに驚いた。
兄が、梅子の願いを一つだけ叶えてくれると言ったので、梅子は、女子大学を作るのを手伝ってほしいと頼んだ。
アメリカで優しくしてくれた男の人を想うと、誰とも結婚はできなかった。

梅子は、最後まで、両親のことで悩んでいた。
梅子は、最後まで、両親が自分を守るために悪い事に関わったという事が分からなかった。
大事な知識をつけても、梅子は、本物の愛には触れられなかったのだ。

Angel[ノーマ]2
人生は一回きりで終わりではない。それなので、年老いてからも、夢を見続ける事と夢を叶えるために、我慢をすることが大切になる。
老婆のノーマは、旦那に先立たれた。
ノーマは、支給されたお金を頼りに暮らすようになる。
それでも、主人が遺してくれた家は財産の一つだった。娘は遠くに住んでいて、迷惑をかけてはいけないと思った。
ノーマは白黒映画を観て、晩年を過ごしていた。
撮影現場を想像すると、年老いてもう絶対にいけない自分が悲しくなり、クッションを引き裂いたりした。
ある日、近所に若い夫婦が越してきて、2人で挨拶に来た。
白い歯のハンサムな男は、笑顔でノーマを見た。
ノーマは少しだけ、その人を好きになった。
ノーマは、窓から夫婦を観察するようになる。
でも、その人が自分を好きになってくれない事はよくわかっていた。
ノーマは、年老いた自分の手を見た。

『神様、もしも生まれ変わったら、私を絶対に女優にしてください。』
ノーマは神に祈り、年老いても体を鍛えたり、演技や笑顔の練習をした。

そして、年老いたノーマの努力は実り、ノーマは女優になりやすい家に生まれた。
母親は映画好きで、映画会社で働いていた。
娘の名前を、女優ノーマ・タルマッジと、セックスシンボル、ジーン・ハーロウを由来とするノーマ・ジーン・モンローとした。

しかし、第二次世界大戦が勃発する。本気で女優を目指していたノーマには、絶望的な事だった。ノーマは我慢をして、工場で働き始める。ノーマは自分を、アメリカで最も特別な女の子だと信じ込んだ。
そんな中、スカウトが来る。
ノーマは、大女優としての笑顔を見せた。

撮影現場は怖くなかった。ずっとやりたい事だった。ノーマは最初からうまくできた。
戦争を止めるために、自分のセクシーな写真や映画が必要になると思った。

ノーマは結婚を3回した。それが女優であるという事に必要になると思った。
ノーマは子供が欲しくて、名前まで考え、子供用品を見に行った事もあったが、子供には恵まれなかった。

2番目の夫とレストランに行った時、赤ワインの量が少ないと感じたノーマは言った。
「あら、そんなにケチらないでよ。」
旦那は笑っている。
ウエイターはためらい、ほんの少し、ノーマに赤ワインをたすと、ノーマは大女優の顔で笑った。
ノーマは今でも愛され続けている。


Angel[オリヴィア]3
梅子と会った16才のオリヴィアは、エイズの合併症がもとで、18才で亡くなった。
オリヴィアはもう一度、肉体をもらった。
今度生まれた家は、前回生まれた家よりも貧しかった。
集合住宅の1つに住んでいる。
でも、オリヴィアは、今度は失敗しないように気をつけた。よく勉強をして、家の中をお洒落にしたりした。いくら安物でも、古い服でも、オリヴィアはお洒落に着る事を心掛けた。それで、素敵な紳士に声をかけられたのなら、どんなに素敵な人生が送れることだろう?
オリヴィアが生まれる数年前に、大きな戦争が終わっていた。
でも、戦争がまた起こると噂されていた。
オリヴィアは走り、その噂をする男たちに叫んだりした。
「嘘つき!戦争なんて、始まるわけないんだから!!」

『モデル募集』
写真写りが良かったオリヴィアは、モデルをしてみる事にした。
オリヴィアは他の女性よりも、特別な物を持っている女の子だった。
撮影はとても簡単な物だった。
「ただ立っているんじゃなくて、こういうポーズをしてくれる?」
カメラマンは、写真のモデルを指さした。
「わかりました。」
オリヴィアは写真のモデルと同じように、ポーズをして、クールな顔をした。

でも、オリヴィアはモデルを始めて、少しイラ立つ事も多くなった。
「もうモデルは終わりにしなさい。」
両親に叱られることも多くなった。でも、オリヴィアはモデルを辞めなかった。
「また、いつ戦争が始まるのか分からないんだから、今のうちにお金をためておきたいよ。」
オリヴィアは泣いた。

でも、オリヴィアは成長すると、嫉妬した女の人から、自分は殺されるかもしれないという事が分かった。オリヴィアはモデルを休む事にした。
オリヴィアは牛乳配達をしたり、ビルの清掃の仕事を始めた。

東京オリンピックがあり、とても小さな妖精が体操で金メダルをとった。
オリヴィアの妹のアニーが言った。
「お姉ちゃんも、ああいう事ができるんじゃない?」
「できるわけないでしょ。」
オリヴィアは少し虚しかった。
カメラの無い部屋で、お洒落な服を着て、ポーズを決めたりした。

「お姉ちゃん、モデルやらないの?」
アニーが雑誌を持って、部屋に入ってきた。
「今は無理だよ。」
オリヴィアはギターを弾いた。
オリヴィアはギターを弾き、歌を書くようになっていた。

しかしなぜか、その頃、自分の昔の写真が雑誌に掲載されるようになる。

母親は働きに出ていた工場で毒にあい、その場で目を開けて死んだ。
姉妹と父親は、心に黒い大きな丸い穴が開き、1日中泣いた。
オリヴィアに嫉妬した女性が、母親を殺したのだ。

『私は、もうモデルを辞めたのに、どうして‥。』

母親の葬儀から数日後、父親がいない時に、黒い車が家の前に止まり、2名の泥棒が入った。
窓から黒い車を目撃したオリヴィアは、ベッドの下に隠れる事にした。
泥棒は15分くらい家にいただろうか?
オリヴィアが隠れた部屋に来た時、泥棒がオリヴィアとアニーと父親の名前を呼んだので、オリヴィアは心がヒンヤリとした。
泥棒は窓ガラスを撃ち、去った。

オリヴィアは10分後にベッドの下から這い出た。
「アニー。」
オリヴィアがアニーを探すと、アニーは衣装だなの中に隠れていた。
「よかった。」
「お姉ちゃん、私、怖かったよ。」
オリヴィアとアニーは抱き合った。

警察が来て、現場検証をしたが、盗られた物は何もなかった。
でも、オリヴィアは気づいた。オリヴィアが書いた歌がなくなっていたのだ。

事件から1カ月後、暗い顔のオリヴィアは街を歩き、高級ファンデーションの前で立ち止まった。
オリヴィアは口紅をためし、高級ファンデーションを塗ってみた。
そして、笑って、鏡を見た。これなら、もう一度、モデルができるかもしれない。

すると黒い髪の女の人が来た。
「化粧品が欲しいの?私は‥、見た目より心の方が、大切だと思うけど。」
女の人は言った。
「私の名前は梅子。昔、あなたは私を助けてくれたのよ。」
女の人は消えた。

オリヴィアは辺りを見回した。
そして、天使だった時の記憶がよみがえった。
オリヴィアは何も買わず、店を出た。

オリヴィアは伝説を残す事を決意し、生きる事にした。


Angel[チャーリー]4
チャーリーはミネという女性と結婚した。ミネは綺麗ではない。中身は正真正銘の男だったのだ。チャーリーは漫画を描いていた。2人の娘に恵まれたが、この事は秘密である。
長女の名前はフローレンス、次女の名前はエイミーという。
フローレンスはとても美しく、エイミーはそばかすだらけのおかっぱだった。
フローレンスが16才の頃、戦争が本格化する。
そして、フローレンスは絶望のあまり、崖から飛び降りて、自殺しまう。
家族は、フローレンスの死を悲しみ、近所の兵士たちも葬儀に参列した。
エイミーは1人事を繰り返したり、家の物を破壊したりするようになる。
「どうしたんだ、エイミー。」
チャーリーがのぞくと、エイミーは赤い顔で泣いていた。
「大丈夫だよ、ほら、これを見てごらん。父さんが描いた漫画なんだぞ。」
チャーリーは、ついに、エイミーに自分が漫画家だという事を明かした。

だんだんとエイミーは元気を取り戻した。
成長したエイミーは、家を出る事になる。
「エイミー、元気でね。」
「うん。」

チャーリーは漫画を自宅で描き、時々、遠い目をした。
「フローレンスさんは、先に天国に行ってしまったね。」
「でも、エイミーは元気で大学に行っているわ。」
「それでも、姉妹一緒じゃないから、そんなに幸せじゃないさ。」

その通り、しばらくして、エイミーは毒を飲んで、自殺をしてしまう。

それでもチャーリーは泣きながら、漫画を描き続けた。
どんなに辛い時でも漫画を描き続けたのは、自分の娘のような犠牲者を出さないために、平和な世界を作りたかったからだ。

チャーリー、ミネ、フローレンス、エイミー。4人の名前が刻まれた柱に触ったチャーリーは、自分の漫画のキャラクターのシールを上から貼った。

チャーリーが描いた漫画は、今でも伝説として、世界に残っている。

End
[A star] by Shino Nishikawa

Angel

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  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-09-28

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