仏の道
お爺ちゃんの声がした……
人生の師匠から。
人は、血ヘドを吐く努力で得たものが有るか無いか、生まれながら持っている特殊な能力が無ければ、死だけをひたすら待つ時間と浪費を無駄に生きる動物だ。
お彼岸を迎えた爺ちゃんの墓の前、
去年とは違う環境と考えのぼくにお爺ちゃんが、そう言った様に聴こえた。
お爺ちゃんは血ヘドを吐く努力をしたの?
と聞いた。
お爺ちゃんは、
いや何もしていない。
ただ、皆んなが幸せになる様にどんな時でも笑顔で居たんだ、と言った。
牧の木で囲まれたお寺の墓地、
お爺ちゃんのお墓の近くだけ、牧の木の下で彼岸花の色が真っ白に光って咲いていた。
仏の道
白く光る彼岸花が笑って光っていた。