黄風に誘われて
物思いに耽る風。
何もしないで薫るもの……
大嵐が置き去りにした汗はまだ乾かない。
揺れる水辺から当たり前のように顔を叩かれると、緑が褪せた土の匂いがここでケンカする。
寒さを知ってる木々たちは、我も我もと葉を落とし節目の彩りを変えてゆく。
平の地もまた、ちっちゃな色を着けるものは次第に顔を覗かせる。
汗が乾く頃になると、ケンカも無くなりひたすら葉を落とし色を変え、顔を撫でる事さえ休まない。
そろそろだ、と待っていたちっちゃなものは顔を出し節目の色を匂わせる。
撫でられた顔にほんのりと、薫る風に変えてゆき金木犀の頃だと教えてくれた。
黄風に誘われて
これからの時を知らせる風に。