知らないもの ①

彩奈(あやな)ちゃん、バイバイ。」
少しはにかむ様な笑顔で私にさようならを告げる女の子。
前にクラスの揉め事の中核で、今は私とある女の子以外とはほとんど話さなくなった。
前までは、みんなと仲良くしていて、私の憧れでもあったその子。
なのに今は元気もなく、癖のようにはにかむ。

「うん。」
その子を見て笑顔でバイバイと返した。
その子の名前は久遠寺(くおんじ)雪妃(せつひ)(くおんじせつひ)。
あ、私は御影(みかげ)彩奈(みかげあやな)。昔から由緒ある家なんだとよく言い聞かせられていた。

「彩奈、なんであの子に構うの?」
由真が怪訝そうな顔で言う。
きっと由真には分からない。あの子のすごさが。
だって、何言われても笑顔で「大丈夫だって!」と言う。
きっと影では泣いている。

「由真は、あの子を変に見過ぎだよ。帰ろう!」

「? うん。」



帰って私はすぐに布団の中へ潜った。
疲れていたのだろうか。明日は休みだからお風呂は明日入ろうなんて思った。

ーリンー
鈴の音が聞こえるなんだろう。
目の前には女の人。顔がよく見えない。

私は座ってその人のことを見つめることしか出来ない。
そして急に腕を引かれた。
はっきりと顔がみえた。その顔は雪妃ちゃんそっくりだ。
髪は少し雪妃ちゃんより長くて、目は、炎を移したように真っ赤だ。
そしてなにより、笑い方がなんとも言えず不気味で、怖かった。

「やっと、見つけた。」

そう呟かれると後ろから人がやって来た。

「え?」

「私を、助けて。」

その不気味に笑う顔を今度は悲しそうにした。
そして、涙を流す。

ーガッー
雪妃ちゃんそっくりの女の子は後ろから何かに切られたのか、地を流して倒れた。
私はそれを呆然と見るしかできなかった。



「!!!??」
目を冷ますと、汗だくになり、涙を流していた。

その夢は日に日にリアルさを増して行き、ついには1週間続いた。
そして、わたしも殺されそうになる。
その瞬間に毎回目が覚めるのだ。

「彩奈?最近元気ないね?」
由真は心配そうにわたしの顔を覗いた。

「雪妃ちゃん、今日は休みなんだ。」
そうボソリと呟く。
雪妃ちゃんがいないとクラスの女の子は雪妃ちゃんの悪口を言う。

「うざい」「調子乗ってる」「お嬢様ぶり」「性格悪い」
など、雪妃ちゃんにはあまり当てはまらないものを当てはめるのだ。
あまりそれを聞いて良い気分はしない。
だからこそ、耳を塞ぎたくなる。

放課後、私は補修のため、由真が先に帰った。
補修を終え一人帰路を進む。
ど田舎に私は家があるから駅から家まで結構ある。
1人ゆっくりと進んでいると、前から男の子が歩いて来た。
うちの学校の制服だ。
まぁ、マンモス校だから顔は分からない。
でも、すごく綺麗な男の子だ。

「あ」

目が合うと声を上げられた。

「?」

「お前か?御影彩奈って。」
何でわたしの名前を。

「??」

「はっ、もしかして親から何も聞いてねえの?」
親から?
何のことだろうか。

「は、だから御影はバカって言われんだ。可哀想に、何も知らねぇで、彼奴に仕えんのか。」
仕える?
誰に?

咲紀(さき)、ここにいのか。」
今度は空から人がきた。
空から?え?

「その子か?」

「みてえだよ。匂いがぷんぷんするしな。」
匂い?
何の話しだ。

「あいつ呼んで来いよ、夏生(なつき)。」
「ふん、」


少しすると、光が一点に集まり出した。
何事かと思うと、女の人が現れた。
それは雪妃ちゃんそっくりな夢の人だった。

「!!??」

にこりとはにかむように笑う。

「やはり、御影とはあなたの家の事でしたか。」

「は?妃雪(ひゆき)知り合いかよ?」

「クラスが同じなの。」
着物なのにどこか違う、不思議な形をした服装に、長くて綺麗な黒髪。そして、真っ赤な目。

これか、何が起こるんだろうか。

知らないもの ①

とりあえず、一旦切ります!!
桃組+戦記のパロにしようか迷ってちがくなりました。
桃組みたいなの大好きなんです!!

知らないもの ①

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-26

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