とばりをゆく

この隔たりを引き裂いて

手にしたいものは誰(た)がためか

肉と肉が濡らし合ったところで

真の空洞は消えやしないぞ

かりそめの求愛は理性を捕食し

虚ろの拡がりを加速させる

腹から出した声の真贋を

分かっているのは、おまえだけだ

自分の居場所を探したくば

枕に過去を問い掛けよ

濡らすのは頬だけにしろ

とばりをゆく

とばりをゆく

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-09-16

Copyrighted
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