幻想旅行
廃墟になったそのまちで
まわり続ける白馬たち
陽気に狂った音楽に
耳を塞いだ蝋人形
空色あせた瓦礫には
かつてあふれた人の夢
天に行けないゴンドラの
座席にかわいい忘れ物
鈍い光にきらめいた
虹色硝子の死骸達
すべて儚い夢のなか
空虚を見下ろす海猫は
やさしく一声鳴きました
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海をのぞめる草原は
宇宙の窓を隠す丘
黒い波音つつみこむ
幾千の星がうたうこえ
クレッシェンドは無重力
銀河を渡るモノレール
軌跡に螢ばらまいて
衛星神話紐解いて
極地の果てへ小旅行
汽車の煙におおわれた
惑星XXXの土地を踏む
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頂上見えない墓の石
神に背いた塔の淵
割って覗けば人の群
夢うつつで聞くお話と
うたが消え去る秒読みに
気付かぬように眠る宵
記憶に沈んだ友達も
命も夢も消える時
愚かものねと煽る声
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私がたずねたその場所は
過去も未来も孕むまち
遊園地にも宇宙にも
心当たりの傷の跡
いつか存在した海に
かつて存在するさかな
ふらりふらりと泳いだら
化石になって夢を見る
空間を超え時も越え
幻さまよう小旅行
幻想旅行