一報
君を愛してやまない午後三時、しかし手放せないものはあって、そんな自分を憎んでいる。それでも君に会うためにカバンを買ったのだ、レモンの柄の30×20、しかしどうせ君がそれを見ないことが何よりも嬉しい。
大切な君に助けを乞えないのだ、大切に想ってくれるなら尚更、君が悲しむとどうにも胸が痛んでしょうがない。これが愛ならそれは、砕けたガラス片の乱反射を花畑と呼ぶかのようで、しかしそれでも輝くものは尊い、だから大事に守り続けている、せめて血で汚れることのないように。
好きな人から手紙をもらって、水星で暮らし始めた友人がいる、きっと彼女は穏やかに一人でいるだろう、だからもし私が君を失くしたら、金星に引っ越すかもしれない、こういうところがダメなのでしょう、しかしどうしたってほんの少しは忘れたくないものだってあるのだ。
失えないもの、君以外のもの、替えがたいものたち、それでも荷造りの日がやってくるなら、私は他のもの全部捨てよう。一生をかけて伝えないといけないことがある。
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