テロ対策は闇が深い!Nordpol
この話は『テロ対策は闇が深い!Martha』の続きです!(1話は『テロ対策は闇が深い!Able』)
※この話は『小説家になろう』にも載せます
※この話は『小説家になろう』では第二章にあたります
Nordpol
午後六時五十分、東京本部第二会議室……
この第二会議室は本日に限り『ゾンビ愛護団体対策室』となっていた。なのでこの部屋にはこの強制捜査に関わる人達がいた……
ガチャッ!
そんな部屋に秋好は入ると、近くにあった椅子に座った。すると突然本郷に話しかけられた
「秋好、そっちは準備OKか?」
「えぇ、相澤も問題なく残せましたので問題ないです」
秋好はそう答えた。するとそれを聞いた本郷は「相澤も残せたのか。今回もいつものように逃げられると思ってたよ」と言い、秋好の隣に座った
『まぁ、相澤居残りさせたおかげで明日の昼飯代が二人分かかるんだけどな……』
秋好は心の中でそう言った
相澤は秋好の指示だろうと居残りはしない人間だった。なので秋好は、相澤だけ帰宅を許すと平等ではなくなる……ということで、今回は『居残りしたら明日の昼飯を奢る』という条件を出していた。そしたら相澤がそれに食い付き、今に至るというわけだ
「これも仕事の一つですから」
秋好は苦笑いしながらそう言った
「さて、あとは誰がいないんだ?」
本郷は部屋の中を見渡しながらそう言った。すると部屋の隅っこにいた藍卯がこう言った
「捜査2の宗方がいねぇ。それに仲野もだ」
藍卯はそう言うと、近くにいた対策官に「二人を呼んでこい。流石に遅すぎる」と指示を出した。するとその対策官は「了解です」と言い、部屋から飛び出した
「これで大丈夫だ。時間もアレだし話を始めろ」
藍卯は隣にいる対策官にそう言った。するとその対策官は「でも本部長がいないことには……」と言った。すると藍卯は対策官に近付くとこう言った
「黙れ。今回の強制捜査は全て私持ちだ。仲野はただそれに頷くだけ。何の問題があると?」
「あぁ、それでも良いなら……」
その対策官はビビりながらそう言った。そして藍卯から逃げるようにホワイトボードの前に立った
「今回の強制捜査で主司令担当します宇土です」
宇土はそう言うとこの部屋にいる対策官に資料を渡し始めた
「何の資料だ?こんなギリギリに……」
秋好は手元に資料が回ってくると小声でそう言った。そしてその資料を開いてみると、中には作戦時の動きやゾンビ愛護団体総本部の見取り図が書いてあった
「どうやらこの資料は捜査部、特殊部用みたいだな」
隣に座っている本郷がそう言った
今回の強制捜査はテロ対策部、監視部共に本部待機だった。なので二人ともこの資料は必要ではなかった
バンッ!
突然部屋の扉が強く開けられると、部屋の中に仲野と宗方が入ってきた
「藍卯、ちょっといいか?」
仲野はそう言うと藍卯に駆け寄った。そして小声で「一部の対策官が別件に当たっていて参加できなくなった」と言った。すると藍卯はホワイトボードの前で作戦について話している宇土に「おい、全てが狂った」と言った
するとそれを聞いた宇土は「何かあったの?」と聞いた。しかし藍卯はその質問には答えず、宇土に「第一会議室に対策2の班長を連れてこい」と指示を出した
しかし事情を知らない宇土は「え?」と言った。するとそんな宇土に藍卯はこう言った
「ごちゃごちゃ言うな。私の指示通り動け」
「分かった分かった。今行くよ」
藍卯にそう言われた宇土は逃げるように部屋から飛び出していった……
「本間、特殊部も第一会議室に行け。乗り込む奴らだけで作戦会議をする」
藍卯は近くに座っている対策官にそう言った。すると本間と呼ばれている対策官は「了解した」と言い、部屋から立ち去った
「残りの奴らは知っているだろうが、本部待機だ。以上」
藍卯はそう言うと手に持っていたマイクを仲野に渡した。そして資料を持って部屋から出ていってしまった
「話とはこれだけですかな?」
秋好は本郷に小声でそう聞いた。すると本郷は「さぁ、終わりなのかねぇ?」と言い、近くにいる対策官を見た。けれど、他の対策官達もこれで話が終わりなのか分からず、自分達の部屋に戻れずにいた
するとそんな様子に気付いた仲野が皆にこう言った
「恐らく会議はこれで終わりだ。皆戻って良いよ」
仲野がそう言うとこの部屋にいた対策官達は資料を持ち、続々と部屋から出ていった
『ゾンビ愛護団体総本部強制捜査』まであと二時間。作戦が成功するかどうかは、作戦立案官の藍卯にかかっていた……
テロ対策は闇が深い!Nordpol
秋好歴(あきよしれき)
一等ゾンビ対策佐官
常備武器……拳銃