紙片

鉄橋

機関としての人間、地下電線の街
優しくなんて、なれるのだろうか
カナブンの死骸、教室の蜂、蜘蛛
虫たちのうめき声は僕に届かない

鉄塔が等間隔でギラつきながら立っている。
電線の放つ響きに重力のようなものを感じる。
頑強なその肌を風雨に晒し、大地に四つ足について屹立している。

柵の下で水が流れている。
大きなうねりは下流へ吸い込まれていく。
縁の草や石を削り取り静かに連れ去っていく。

水槽の熱帯魚は死んでいた。
水底の枯木の陰で白眼を剥いて死んでいた。
かつて悠々と碧色の、翠色水の中を泳いでいた熱帯魚は一匹の寄生虫の肥やしとなったのだ。

猿の祈祷師が屍体の前に座り込んで杖を振っている。
呼び覚ます。
何も語らない屍体の前で祈祷師はつらつらと冒瀆を始める。

風流は寒きものなりと言った人がいた。
僕は風のようなものに肌を掠められて寒かった。
外気に体温を撫でられてひしと自分の身体がそこにあるのを感じた。

紙片

紙片

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-09-14

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