2019 15
嵐が夏をさらっていく
迫りくる雲が 迫りくる雲が 刹那の感情を追いかけ
あの熱に痛めつけられた街を洗い流す
狂雲を眺めている
紫の雲が 紫の雲が 鮮明な青空を覆い隠し
大都市のいたずらですら全て破壊し尽くす
さようなら
さようなら
過ぎ去った雨は知らん顔して
さようなら
さようなら
清々しい空を想像するのだ
嵐が空を遠ざける
追いついた雲が 追いついた雲が 瞬きの間に散っていき
その熱は翠雨どころではないと笑い出す
雄風に飛ばされどこへ行く
掴みたい雲が 掴みたい雲が 知らないうちに千切れてる
大都市の幻を嫌わないよう壊してくれ
さようなら
さようなら
いつの日か雨が流れる岸で
さようなら
さようなら
澄みきった青を目の前にする
2019 15