短歌1

夢残し若く消え逝く
人達の
その終わりを我は続ける

青空を薄く塗らした
一枚絵
破けぬようにそうっと触る

本来の在りし姿に
思い馳せ
違う心で夢を見ている

いつか死に頭に巡る
走馬灯
良いもの見たく生きる一生

顔を伏せ暗い影背負う
あの少年
白けた時代の主人公なり

命短し蜻蛉と言う
昨夜から
死にたくないと窓にぶつかる

傍に居る家族と共に
夏の街
ひとつひとつと終わり数える

啄木の詩歌に吸われし
この心
何がしたいと問われている

齧りつく奴に負けじと
生きている
八月末の赤い蜻蛉

掻きあげる髪と作品
書きあげる
焦燥心と汚れた手の横

僕じゃない僕の写真を
捨てようか
見つめあっては迷う夜

短歌1

短歌1

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-08-30

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