私の家族は

例えば世界が今日、終わりを迎えるとしたら、
あの犬は一体どうやって過ごすのかしら?
例えば今日、世界が終わってしまうとしたら、
この家の住人はどうやって過ごすのかしら。


もし、お父さんが浮気をしていたとして、
たぶんお父さんはその浮気相手のところへ行くわ。
そうしてその浮気相手は、きっと
お父さんよりももっと甲斐性のある、
ステータスの高い男と一緒にいるんだわ。
お父さんは呆然と立ち尽くして、
「どうしてなんだ?」と聞くと思うの。
きっと相手の女性は軽く微笑んで、
「どうしてなんだ?聞かずとも分かるでしょ?」
と、返すと思うの。お父さんは打ちひしがれて、
そうしてとぼとぼ帰っていくの。行く先なんて、知らずに。


まあ、きっとお父さんにはお父さんのお母さん
(つまりは私のおばあちゃんね)がいるから、
きっと実家へと帰って、他愛もない話をするんだわ。
愚痴とか悲観とか批判とか愚痴とか。
そうしてその日も終わっていくの。
大したことのない人生ね。


お母さんは、もう少し味気のある人生よ。
あの人には仕事があれば、万事それで済むのだし、
いざとなれば子供を守るっていう使命もあるから、
決して暇で終わるということはないと思うの。
午前中は仕事仲間と「世界滅亡会」みたいなことやって、
仕事放り出して皆で食べたり飲んだりして、
(あの人は真面目だから酔って発狂したりはしないわ。
きっと皆の世話役みたいな感じになって、そこでも
仕事をしてると思うの。これは、予想だけど。)
それが終わったら子供の元へ帰ってきて、
好きな放題、色んなところへ連れてってくれるの。
それで言えばお母さんは、とても良い母親だったと思うわ。
私が観る限りでも、とても不器用だったけれど。
そうして夜中になったら、きっと外で外食をするんだわ。
皆で美味しい料理を食べて、
なんだかんだで良い人生だったね。なんて、
笑い合って、その日一日を終えるの。


けれども、これは単なる予想だから。
両親にとっての優先順位が、その日一日で
どれだけ変わるのかは私には分からないし、
それにこんな予想、私の主観だけで行われているから、
なんの説得力もないの。
単なる遊びよ。


だけども何でこんな遊びを突然し始めたのかというと、
やっぱり寂しいからよ。
今考えてみても、何だか家族揃って
微笑ましく終わるなんてところ、想像もつかないの。
例えば世界が明日、終わりを迎えるとしても、
きっと私には、この現実をどうすることもできないのよ。


だからね、今日一日を、慎重に歩まなければならない。
そう思うの。


余談だけど、私には歳の離れた弟がいてね。
あの人は何も考えてないわ。・・・失礼。
楽観的なの、とても。羨ましいほどにね。
私みたいに堅物じゃないから、幸せな終わりを
迎えられると思うわ。いいえ、迎えて欲しいの。


これで、私の「平和と世界滅亡について」の
作文を終わります。

私の家族は

私の家族は

思い付きで書きました。 もしも世界が今日、終わるとしたら?・・・少女が自己中心的な視点で物事を話してます。 読んで頂けると、幸いです。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-24

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