青空のもとで

精神病にかかったときの雑記。

個室

私が気がつくとそこは知らない部屋であった。
鉄の扉、二十張りされたガラス、いや正確に言えばプラスチック張り。
六畳ほどの空間に異彩を放つのは防犯カメラ。
「殺処分される!」何の勘違いか私は直感でそう思った。
だから暴れた。ひたすらに病衣を脱ぎ、外へと通じるプラスチックを叩き、「出せ!」とひたすら騒いだ。
そうすると時々看護婦がやってきて「どうして窓を叩くの?手は痛くないの?」と聞いてくる。
私は「痛くない!出せ!」と言った。
さて、気がついたら精神病棟の隔離室に居た。

ここに至るまでの経緯を触れておこう。
就職活動でなかなか内定が貰えずネット上の新興宗教に助けを求めた。
新興宗教はお金が取られただけで何も役に立たなかった。
それどころか不眠、食事を取らない、で脳に負担を与え続けた。
心配をした同居している両親が「早く精神病に連れて行かなければ…」と話していたそうだ。
5/18に家のドアや障子に穴を開けた。小さい眉切り鋏を持っていた。母が暴れる私を止めてくれた。
それから警察の事情聴取、そしてパトカーに乗せられ精神障害かどうか決める所へ行った。
判定は精神疾患。即入院することが決まった。O病院に入院することになったのであった。

イケメンとの邂逅

隔離室から一般病棟へ移った。今年の6月の初旬の頃だ。
はじめにイケメンが目に入った。とにかく話して仲良くなりたくてひたすら話をした。
このイケメンを仮にSと呼ぼう。
私が絵を描いたら褒めてくれたり、俳句を一緒に作ったりまったり楽しい時間が続くものだと思っていた。

Sは精神疾患のため就職に迷っていたらしい。
私の家は自営業をやっている。見舞いに来た父に「Sさんをうちで雇ってほしい。」と言ったらしい。
大手玩具メーカーを就職薦めたのは覚えているのだが…。
惚れるって恐ろしいことだ。
しかしこのSは私と知り合って5、6日である問題行動を起こす。
問題行動とは夜這いのことだ。Sが消灯時間が過ぎた頃に私の個室に入ってきたのだ。
Sのことが好きな私はSの夜這いに積極的に応じてしまった。
行為の途中で看護婦さんたちがやってきてSとは引き剥がされた。
そして再び隔離室へと移された。
このとき主治医の先生と母が緊急避妊薬を貰いに行ってくれた。

モテ期?

6月の中旬頃、再び一般病棟に移った。
一般病棟では患者の社会復帰を目指して指定の曜日にちょっとしたイベントがある。
カラオケや音楽鑑賞、リラクゼーション…。
イケメンなSはどうやら退院したようだ。
Sが退院してしまって話相手がいなくなってしまった私は比較的年齢の近そうなFさんに話かけた。
ちょっとした絵をプレゼントした。そしたら「今度ディズニーランドへ行きませんか?」と言われた。
その時は病んでいたので二つ返事でオーケーを出した。
しかしこの約束、今の彼氏が登場する事によって破棄することになる。
Fさんはメタボで正直病んでなかったら誘いを断ったと思う。
数日後、他の患者さんたちと雰囲気の異なる男性が一般病棟にやってきた。
この男性をHと呼ぶことにしよう。
Hと話してみてとても楽しかった。初めの頃Hは何故か私の手を握るので不思議に思っていた。
他の入院患者からも「Hさんはサイちゃんのこと絶対好きよ~」と言われて始めてHの好意に気がついた。
はじめHは歳も離れているし、付き合えないと考えていた。
しかし何度も話している内にだんだんと惹かれていくものがあった。
心理学で言うところの「単純接触効果」と呼ばれるものだろう。
病院でH以外の良い男性が居ないのも功を奏して(?)Hとたくさん話をしたいと思うようになった。
Hは病院でほぼ一日眠っていて話せる時間は少なかった。
先の章で書いたとおり、「任意入院」にならないと自由に外出できない。
Hは8月時点で部屋を追い出されてしまって引越し先にとても困っていたようだ。
しかし「任意入院」になって引越し先や入院費の確保が出来た後はあまり眠らずほぼ1日中ずっと話を出来るようになった。
ストレスというのはあるだけで心身に悪い影響を及ぼす。どうかこれを読んでいる皆さんは出来るだけストレスを抱えずに生活をして欲しい。

青空のもとで

ここまで読んでくださってありがとうございます。少しでも楽しんで下れば幸いです。

青空のもとで

目が覚めたら見覚えの無い景色が!さあ、この作者はどうなるのか!?

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更新日
登録日
2019-08-25

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