冷陽の川
真夏にも雪を見る……
沢山の雪と流れて…
前に月と背に朝陽、
前に星と背に夕陽。
こうして七日も終わる頃、
気付くと八日目の月を見る。
終わりを思い始める時、
終わり間際を待ちわびる。
夏始まるは暮れ沈み、
枯れゆく色も染まる雲間に。
若く眩しい頃思えば、
懐かし話に色を着け。
空の色は変わらずも、
見えぬ風音白く成り。
黙って時過ぎ風のあと、
見えぬ君子の遠い影。
笑う陽の中凍る風、
眩しく苦い雪の様。
我が道渡る強い意志、
柵涙も積もる雪。
積もる涙は日々にとけ、
互い冷めた陽背を向けて。
幻影の陽を浴びる頃、
悔やむ雪は川と流れて……
冷陽の川
暑く苦い雪解けの川。