アマゾンの森

Shino Nishikawa

アマゾンの森

神聖な森を誰も知らない

アマゾンの森

1森の番人
僕の名前は、ジムニーという。よく、アマゾンの森に遊びに来ていた。
ジャガーも、鳥も、猿も、僕の友達だ。
本当によく、おしゃべりをしていた。

しかし、ある日、そんな僕を見かねた、友人のマウズが話しかけた。
「ジャガーを呼び出してくれ。俺も話がしたい。」

僕は言った。
「そんなに簡単に話せるわけじゃないんだ。」
「でも、俺さ、聞きたいことがあるんだ。どうして、俺の兄さんが殺されたか。」
「いいよ、わかった。」


僕はいつものように、森に入った。大丈夫、仲間はまいてきた。
木によりかかり、聴いた。鳥の歌声や、猿の話声。蜘蛛が食事をする音。
ワニの足音、サメの鳴き声。

僕は聞いた。
「ジャガー、いるかい?」
「俺だ。」
ジャガーは僕の前に降りた。

僕たちはしばらく話したが、ジャガーは僕を心配そうに見た。
「隠れろ。」
「どうして?」

「いいから。人間がくる。お前、仲間を連れてきたんだろ。」
「ごめん。」
ジャガーは走って行った。

パン
ジャガーは撃たれた。
「ミルキーウェイ!」
僕は、ジャガーの本当の名前を呼んだ。

「やめろ!!」
僕は、ミルキーウェイの上をかばった。

「ダメだ。息の音を止める。」
「君は、ジャガーと話したいと言っていたじゃないか!!」
「俺は、そんな事、ちっとも言っていないよ。」

「ミルキーウェイが死ぬのなら、僕も一緒に死ぬ。」
「くたばれ。」
仲間たちは、背を向けた。
1時間ほど、虫の息のミルキーウェイをさすった。

ミルキーウェイの最後の声さえも、勇ましかった。
僕が立ち上がった時、僕は撃たれた。
見張っていた男がいたのだろう。

僕は、撃たれた事がありがたいと思った。
僕は、ミルキーウェイと共に死んだ。
一週間後には、ハエがぶんぶんただよったけど、気にしなかった。
そして、男が来て、僕とミルキーウェイを埋めた。
その人は、マウズのお兄さんだ。
お兄さんは、ジャガーに殺されたんじゃない。
ワニに靴をかまれて、そのまま、川に引きずり込まれたのだ。

それ以来、僕は、アマゾンの森の番人になった。


2ライオン
アマゾンの森に、ライオンは住んでいない。でも、人間が遊びのために、連れてくることがある。
オスライオンのロスは離された。
でも、食べる物がなくて、猿が落とした果物を食べた。
ロスは腹ペコだった。

僕が見に行くと、やせ細ったロスが、水たまりの泥水を飲んでいて、僕を上目づかいで見た。
僕は肉の塊を投げた。でも、ロスは逃げて行った。
恐いと思ったみたいだった。
僕が去った後、ロスは、泣くようにして、肉を喰っていた。

僕は、ロスと一緒に暮らしたよ。
でも、ロスは、病気になって、死んでしまった。蜘蛛に刺されたんだ。


メスライオンのメルも、アマゾンの森に離された。
ジープの中で、ずっと女ハンターのリサが話しかけたんだ。
だから、メルは、リサを味方だと思った。

メルは離された時、訳が分からなくて、彼らをじっと見たよ。
でも、彼らは、ジープに乗り込み、銃を一発鳴らして、去って行った。
メルは、食べる物を探して、ネズミを追いかけたりしたよ。
サソリが現れた時には、びっくりしていた。

メルは、初めて、草を食べたよ。

メルは大きな木の下で、彼らが戻るのを待っていた。
僕は、メルに肉の塊を投げたんだ。

メルは、上目遣いでこちらを見て、泣くようにそれを食べたよ。

しばらくして見に行くと、メルは、餓死していた。
猿は、お花の冠を、メルにかけていたんだ。
数時間後には、メルは、お花でうめつくされていた。
果物のお供え物があったんだ。
どこかの人間が落とした、マスコットも、人形も。
水筒も置いてあった。

猿は頭がいい。

勝手に連れて来られたライオンは、みんな死んだよ。
クソをしている最中に撃たれた奴もいるし、張りつけにされて、殺された奴もいる。
どれも、可哀想だったんだ。


3ワニ
何人もの人間が、ワニに喰われたんだ。

印象的な事件がある。
可愛いペットの白い犬を、ワニのそばにつないだんだ。
白い犬は、助けてほしくて、懸命に泣いたんだよ。

でも、マウズはずっと、それを見ていた。
白い犬は、黙って、ワニに引きずり込まれたよ。

可哀想に。

マウズは、得意気に、若い女性をアマゾンの森に案内したんだ。
でも、突然、獰猛なヒルが、マウズの顔に飛びついた。
「あら、かわいそう。」
そう言って、女性は去って行ったよ。


4先住民族
人間は、先住民族の女を人質にとり、先住民族の長に、自分達の服を洗濯させたんだ。
でも、長は殺された。
約束を守らなかったからね。

どんな約束なのかは、僕は知らない。

長は、先住民族特有のアゴを切られたんだよ。
最初は生きているまま切られたんだけど、長がもらしたから、殺されて、切られたんだ。

でも、人間たちは気づいた。長の過去が、どんなに暗い物だったのかを。

長も、人間だったんだよ。


5天国

僕は、天国がどこにあるのか知らない。
でも、探さない方がいいと思うよ。

動物たちにとっては、アマゾンの森が、天国だったんだ。


神は、焼き払えと強く言ったんだ。
それがなぜなのか、僕にはまだ語る事ができない。

まるで、アニメの中に入ったように、金髪の男が火をつけたんだ。
でも、男も遺書も、全て燃えたから、もう探せないよ。


ずっと思い出せない事があるんだ。
それが一体何なのかさえ、僕には分からない。

アマゾンの森

アマゾンの森

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-08-23

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