鈴の音がする

鈴の音がする

つい昨日から、私の後ろから鈴の音がガンガン聞こえる。鈴も沢山集まるとこんなに暴力的な音を鳴らし痛めつけるのだと知った。
この夏休み、断続的に聞いた風鈴の音。この前行った夏祭りに聞いた巫女が鳴らす神楽鈴の音。一昨日の昼、ヤマト運輸のお兄さんがひたすら鳴らした呼び鈴の音。二週間前から失踪した野中さんちの猫の金鈴の音。あばあちゃんの折りたたみ携帯に付いてる、この前行ったお寺で買ってあげた銀鈴の音。五日前、誰もいない音楽室で鳴らしてみたプラスベルの音。

この夏休みに聞いた大量の鈴の音が身体を覆い被さってくる様にして、私を圧迫する。

空気が薄い。

息が出来なくなる。

苦しい。

三学期制なので夏休みが終わると必然的に二学期がやってくる。この鈴の音らが皮膚を圧迫して、痛感させて、不安定にさせる。日にちを追うごと、圧迫させてくる鈴の音たちがどんどん増えて急かすようにガンガン聞こえる。鈴もひとつだとあんなに儚いのに何故だろう。焦燥感でいっぱいになる。急がないとと錯覚させてくる。でもこの非日常な毎日が一生続いて欲しい。

そんな子供達を裏切って、鈴の音たちは一瞬で夏休みを終わらせる。

鈴の音がする

鈴の音がする

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-08-23

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