希求三界伝

兎禅國

希求三界伝

皆さま、期待の唐代歴史冒険記!

皆さま、期待の唐代歴史冒険記!

上都は当に繁華だ、唯々繁華だ、其の程を言うなれば地上にある事を忘れるが如く。高楼は天を貫き、鳥は下を飛ぶ。人其の数多く、混乱を極める。都の坊、百数余を超え坊は一つに八千戸を列ねる。この大きさは中小の州城に劣らない。貴人は塀に屋敷を隠し毎夜の如く宴安に興じる。そんな上都の一廓、国子監の蔵書寮に令書を探している時だった。
 天声が地を唸らせるが如く、鐘鼓が四方から響き始めた。上都に夜が来たのだ。宮城の正門、承天門で夜鼓が打たれ、それに呼応するように数百余りもある楼鼓が一斉に夜を伝える。このけたたましいくも雅な鼓の響は六百槌の間打たれ続ける。人は大街から姿を消し、坊門は坊卒によって閉ざされる。夜鼓の鳴った後の大街の移動は許されない。夜が来たのだ。
「稜虞、もう鐘鼓が鳴り始めてから百槌を越す、早く戻らなくては」
 伏伽は書寮の戸口に立って中を窺うように声を掛けた。散乱した巻子本から目を離し、戸口の方に体を傾けた、故は本来は白いのだろう寛衣を仄紅い夕陽に半面を焼いていた。
「伏伽か、案ずるな温子から文牒を貸して貰ってるから、伏伽も少し待ってくれるか。」

希求三界伝

希求三界伝

皆さま、期待の唐代歴史冒険記!見識高くいらっしゃる皆さまからの、時代考証に批判があると思いますが。戯作と思って頂けるとありがたきしだい。どうか何卒!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-08-21

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