裁判

イミフ。その一言に尽きる

目が覚めるとソコは暗い独房だった。体を起こせば目の前には冷たい格子戸。
一体僕は何をしているんだろう。

呆然としていると何も言わない看守が格子戸を開けて入ってきて、僕を引っ張っていく。その顔はどこか悲しげで

どこか僕に似ていたような気がした。

引かれてきたのは裁判所。中は不思議な光景。誰もいない。立ち止まればまた引かれて、被告人席へ。

裁判官も、傍聴人も検事も弁護士もイない。よく見ると席には紙が一枚。

"お前の罪は覚えていないことだ"

何を忘れていると言うんだ、いままで、生まれて、勉強して、友達できて、バカやって、恋人できて…。

これ以上何を思い出せと言うんだ。それに、そんな罪納得出来ない

ふと下がってくるスクリーン

ソコに映し出されるのは見覚えのあるような顔と…僕??

その瞬間僕の中を記憶か駆け巡った。

そう、僕の罪は忘れたこと。愛した人を忘れてしまったこと。

そのせいで、_は死んだ。それは僕の罪。ならば罰を受けよう。

顔を上げれば裁判長の席に悲しそうな僕の愛した人。君が僕に罰を下すならそれは本望だ。

重く閉じた口が紡いだ言葉は僕を絶望へ突き落とした

「お前の罰は生きること」

そう言われた瞬間意識が遠のく。僕は死ぬ気でいた。苦しむ気でいた。なのに…。

悲しい笑顔で愛した人が言ってる

”___”


目が覚めれば愛しい人。そんなに泣いてどうしたの??ぼくも泣いてるって?

…、全部思い出せたんだ。

ーぼくは罰を受けようー

ありがとう、ぼくを支えてくれて

ーもう、忘れない

そうしてぼくは彼を思い出にした。

”刑;俺を思い出にして幸せに生きること”

愛してるよ、



裁判

裁判

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-22

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