ココの居る楓が石。





蛙のココは喉から起きる。
朝に鳴き深く吸って,
吐くように2度は寝る。
食事をするとこ見た子なく,
眠った頃に居た子もいない。
蛙とゲコっと鳴き夜を過ごし
釣り人と一緒に朝の浮きを見守る。
鱒がばたついて銀の鱗が陽を照り返す朝が良い。
釣り人と一緒に体を叩く雨粒を知る曇天も悪くない。
いずれにしろココは川面に飛び込む。
ココはよく縦に泳いだ。
その泳ぎには未だに名前がない。







遊び心でココは魚眼レンズをまた借りる。
水面でばらけるプリズムに目を輝かせ
頬袋でニンニンした忍びになって
流れる小石の気持ちは,
川を綺麗にするつもりで流れる。
ハイウェイコース。
川流れは雲を速くしていき
真上の天気のご機嫌も窺わない。
水中生物でも水の中は
ほんのり冷たい合唱コンクールの時季。
カエルの輪唱に鼻声の子はいない。
水の中でホッとする
ココは暖かい。






ココのこと
ココのこと。







比べて綺麗な川向こう,
ココは写実な紅葉の山を踏む。
フミフミする柔い木々,
ガサガサとする陸の生物。
カサカサする手袋したヒト。
ココは水掻きパシャパシャして
木々の色々だけ残して眺める。
パンとした猟銃のその結末は分からない。
ココは水掻きパシャパシャして
木々の色々だけ残して眺める。
プルプルして葉が散るのは
冬休みの前の出来事,
それはココが知る確かな事。







ココのこと。
ココのこと。







ココは夕方にシチューを作る家に居て
アルバムの中の一枚になった。
平均的に浅い川の中,
ホテルの影が底に深くなる。
稀有な流れに建っている。
産まれたてのおたまじゃくし。
見ることも知らないのは経験済みのココ,
せせらぎに向けて歩める脚は
確かに蛙の脚。
おたまじゃくしの面影はない。







段差飛ぶ。
着地の飛沫はココ分だけだ。
鳶が泣いて鷹が去ってく。







ゲコゲコ。
ゲコゲコ。
楓が石。
ココ居ても
世界の何かがガシャンといって
葉崩れに,
木の実が落ちてせせらぎ跳ねてココに当たる。






楓が石。
天狗に乗せられ
川面でジッと楓が待つのは動する事柄。
ゆらゆら見つめる葉脈の行先。
川辺の暇(いとま)のキリギリスのソロコンサート。
そこにも居たココ。
楓が石。
輪唱の中のカエルには
鼻声の,
子はいない。







楓が石。
夜釣りを楽しむ釣り人と,
ココは浮きに注意を向ける。
石下で楓が吸い上げる,
川の流れは小石で綺麗だ。






楓が石。
気付けば晴れの夜だ。
出発時刻をとうに過ぎた
ナイトフライトの飛行機が飛んでる。






釣り人が鱒を釣り上げて
ココは縦に泳いでく。
その泳ぎにはまだ名前がなく








楓は回る。
山を写す川は
比べてとても綺麗だ。








そして楓離れる石。
ココ居ない,
ナイトプランの飛行機ゆく。








蛙のココは喉から起きる。
朝に鳴き深く吸って,
吐くように2度は寝る。
食事をするとこ見た子なく,
眠った頃に居た子もいない。
蛙とゲコっと鳴き夜を過ごし
釣り人と一緒に朝の浮きを見守る。
鱒がばたついて銀の鱗が陽を照り返す朝が良い。
釣り人と一緒に体を叩く雨粒を知る曇天も悪くない。
いずれにしろココは川面に飛び込む。
ココはよく縦に泳いだ。
その泳ぎにはまだ
名前がなかった。







輪唱の中のカエルには,
鼻声の子はいない。
ココが知る確かな事。
水の中でホッとするココの潜水。







ゲコゲコッ。
ホッとして
ココは縦に泳ぐ。

ココの居る楓が石。

ココの居る楓が石。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-22

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