お墓参り。

yuki.y

今日は15年前に自死した父親のお墓参り。霊園は盆の入前にも関わらず色とりどりのお花が供えられ、帰省中の親戚らしき団体様もいらっしゃっていつもより賑わっていた。ふさわしい言葉ではないけどなんとなく嬉しくなる。

当初、父親のお骨は父親の故郷である北関東のとある地方都市の墓地に埋葬されていた。○○家と書かれた立派な墓石の下。死に方が普通とは違う父親のお骨は死んでもなお厄介者扱いで、すったもんだあり母親が○○家のお墓から近くの霊園にお骨を移した。ここ数年ニュースなどでも話題になっている合葬式墓地。都に申請し抽選で当たらないと入れない。倍率はとても高く何度と申請しても当たらずに苦労している人も多いらしい。厄介者扱いされた父親のお骨を早々に移さねばならなかった母親、申請して一発で見事に当てた。昔から特別な何かを持っている人だ。

そんなこんなで近くの霊園の合葬式墓地に眠る父親。何棟も立ち並ぶ墓石には当選した順番に名前がずらりと刻まれている。夫婦二体で申し込んだ為、父親の名前の隣には既に母親の名前がある。生きているのに名前が刻まれている違和感は半端ない。父親はきっと知らないお骨に囲まれて母親が来るのを待っているのだろう。


いやいや、待っててもらっては困るっ、お父さん、しばらくはひとりでそこで眠ってなさいっ、ほらっ、たくさんのお骨がいるから淋しくないでしょっ、お骨同士でお友達になったらいいよっ、あっほらっ、よく言うじゃん、遠くの親戚よりも近くの他人、ってさっ。


自宅から自転車で30分程で行ける霊園に、私はよくひとりで行く。つらかったり悲しかったり悩んだり、そんな時はひとりで行って話を聞いてもらうのだ。


うっ、また来たのか、お父さんがしゃべれないのをいいことに、いつもとんでもない話をもってくるな、まあまあ、お父さんも褒めらた人生ではないからね、多少のことでは驚かないよ、って、なに!? びっくりし過ぎてお骨が砕けそうだよ、毎度ながら爆弾おとしてゆくなぁ、ふむ、好きなように生きればいい、何があってもお父さんは君の味方だからね。


あの穏やかな優しい口調の父親の声が聞こえる気がする。そして勝手に父親の想いを解釈し満足して帰ってくる。いつも驚かせてごめんなさい。今日は家族も一緒のお墓参り。生前会うことのなかった孫が来てさぞかし喜んでいることだろう。


お父さん、今日はみんな一緒だから話できないけど、近々ひとりでくるねっ。


な、なに!? また爆弾おとしに来るのか!? お父さんのお骨が砕けない程度にしておいてくれよ。


あはは、大丈夫、大丈夫、聞いてくれるのお父さんだけだから頼りにしてるよっ。


しょうがないなぁ、まあ、待っててやるよ。


自然豊かな広い霊園。季節の花々が咲き散歩するには良いところだけれど、いちおう霊園、季節ごとに父親に会いにそして話を聞いてもらう。本当は何を想っているのだろう……。

お盆のあとはすぐにお彼岸がやってきて彼岸花があちこちに咲き乱れる頃。その前にまたひとりで会いに来よう。たまには嬉しいことも報告しようか。

お墓参り。

お墓参り。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-08-11

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