私と8と運命。

yuki.y

まだ詩を書き始めて間もない頃に、こんな詩を書いたことがある。

*****************************************

「答え合わせ」

幼いあの夜デジタル時計の8が怖かった
出席番号にはいつも8がついた
住所にも電話番号にもいつも8がついた
8はいつもつきまとう
結婚してとうとう名前に8がついた

「私は8です。」

誰かの問いかけに答えは8だと知っています
濁った水の中に答えの8を探しています
数字はいくつもあり濁ってますから
どれが8なのかわからないのです
考えたら答えを知っているだけ
少しはマシなのかもしれません
この手に触れた数字は8だと確信して
手に取りましたら8でした
私は8を握りしめ誰かに向かって
手を真っ直ぐに伸ばし
「答えはこの8です!」
と叫びました
焦げ茶色の雨が降ってきて

……コタエハ8デハアリマセン……

と抑揚のない機械音が聞こえました
私は呆然としました
私は8以外の答えを知りませんから
ただ8を握りしめ立ちつくしていました
水は焦げ茶色の雨にますます
濁りを増してゆきます

私は8でなかったのならば
「8はなんですか?」

*******************************************

ふむ。直すべき箇所はたくさんあるし、詩として優れているとは到底思えないわけで……。伝えたかったのは運命とは何かね? ってこと。これは運命だからって思っていたことは本当にそうであるのか。

詩の冒頭部分は事実である。幼い頃に部屋に置かれた時計の8がすごく怖かった。デジタル時計の8って今時のは大抵は漢字の「日」みたいな8だけれど、当時のデジタル時計ってパタパタとめくられて、雪だるまみたいなリアルな8で何故かすごく怖かった。

それ以来8はいつも付き纏った。出席番号に住所に電話番号に娘の誕生日に出生体重に病院の診察券番号などなど。そして名前に8がつくとは、もう運命的な数字としか思えなくなった。怖かったはずの8は、私にとってただの数字ではなくなってしまった。

ただひとつ自分の誕生日に8はない。これって結構重要な思い違いだった気がして、だから全てはただの偶然で本当は運命なんかではないような気にもなる。

そんな思いを詩にしてみたのだ。

私にとって8って何なんですか? 誰かご存じの方いらっしゃらないでしょうか?

なんてね……。

私と8と運命。

私と8と運命。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted