はやくはやくと声がする

朽木 裕

誰も責めてなんかいないよ。生まれ持った命だもの。好きに使いなよ。いつか死ぬんだから、それが今でも十年後でも大して変わらないよ。好きに生きて好きに死んだらいいさ。夏が死ねと直接きみに訴えることはないよ。もしそう思うのならば、それはきみが、きみだからだ。答えはいつも単純明快。

木霊する蝉時雨。

リキテックスの空。

嗚呼、本当に夏って狡いんだ。舞台装置が整い過ぎてる。ほら、ほら、はやくと右から左から声がする。泣きながら叫ぶのも、それは夏で、地面に倒れ伏して腐るのも、夏で。

はやくはやくと声がする

はやくはやくと声がする

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-08-10

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