不善
桐原 水刃
頭に中出しされたプラネタリウムは疼いている。視線の先には哺乳類の牙の跡。扉に仕掛けられた花々の罠には、後悔に混じった献身的な自己否定が笑っている。なにかに言わされている。そんな不安が蘇っては横たわり、誰かへと消えていく。トランプを配るようにみんなを気遣うやり方で、清々しい朝を迎え撃つための自殺のことばかり考えていた。どうして君に似ているものばかり選びとってしまうのだろう。真ん中の靄が光っている、朝焼けに隠された二律背反。それは研ぎ澄まされて閉ざされていく。もう幾度となく繰り返し、繰り返されることで勢いを増し、その威力はやがて喉に届くだろう。海に身を委ねることに困惑しながら、「消えてなくなりたい」と繰り返し無意味さに負けていく。
不善