わたしの靴をください

佐々木菜々子

「かみさまのサンダル」に続いて靴にたとえて書きました。

‪今の心でいれば仕事もできる‬
けどしんどい

楽になりたくて
昔の自分に声を掛けて大丈夫だよって抱きしめたら
体が震えて家からも会社からも逃げようと思った
どこか静かなところで大丈夫になるまで休もうと思った

‪しんどいけどとりあえず表面上は「しっかりした大人」として社会で仕事するのと‬

楽になるために自分を見つめて組み直す
そのために一度壊すのと

どちらがいいのだろう

「仕事用」があるから(一応)生活ができる
でもそれは無理して履いている踵の高いパンプスのようなもの

足に合う靴を見つけるために
裸足になって
焼けたアスファルトの上を歩く勇気

とりあえずパンプスで
裸足になれる場所まで進んだらいいのかな

そう思ってパンプスで進むうちに
痛みに慣れて
このままでもいいかなと思ってしまって無理して傷ついて遂には倒れる、
その繰り返し

もう繰り返すのは嫌だから
やっぱりパンプスを脱ごうとして
焼けた道の上で脱いで
足がやられる

脱いだパンプスを履き直したら
苦しいけどまた(一応)歩けるようになる

火傷した足が小さなパンプスに擦れて痛む

ちゃんとパンプスを履いてきなさいと
会社の人は言う
ドクターも
親も

「ゆっくり休んで落ち着いたら
パンプスを履いて」

逃げたい
裸足になれる場所、
オアシスを探すために履く仮の靴がほしい
柔らかく足を包んで火傷が治るまで守ってくれるやさしい靴が欲しい

少しずつ歩いて
足が治った頃
着いたオアシスで
裸足になって
足に合う、楽に走れる「私の靴」を
探したい
作りたい

どうか

許されているから生きているのだと
存在しているのだと

どうか
許してください

許したいのです

生きるために

きつい靴で傷ついた、その傷が膿んで死んでしまう前に

死にたくないのです

キツイ靴から逃れるために死ぬのはまだいいですが
キツイ靴でできた傷で死にたくないのです

靴でできた傷くらいで死なないよとみんな笑います
笑い声が耳を突き破って
かき消されたSOSが胸に溜まって血が噴き出すのです

私がこのまま歩き続けて倒れて死んだら
「苦しいなら休めばよかったのに」……そう言うのでしょう

助けて

わたしの靴をください

心の基礎工事をやり直したい

心の基礎部分=靴

わたしの靴をください

生きるために

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