クローバーと夏

四つ葉のクローバーをさがしてるの
ずっとひとりでさがしてるの
四つ葉のクローバーは、それは綺麗なかたちをしていて
うっとりするわ

こんなに広いところで
こんなにクローバーが拡がってるところで
もし四つ葉が、ひとつだけ生えているとしたら
わたしはその子を引っこ抜いて
家に持ち帰るなんてことはしないわ
こんなに広いところでひとり闘ってきたことを
孤高なんて言葉でまとめたりしないわ
もしあなたがまわりから相手にされていないのなら
わたしはあなた以外のクローバーを
端から端まで説得するなんてことはしないわ
あなたと、ただお話がしたいだけなの

初夏の公園、杏色の夕焼けの下でわたしは
きょうも四つ葉のクローバーをさがしている

クローバーと夏

クローバーと夏

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-08-02

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