ペースト
日々を落とします。
なんにもできない無力なわたしは、ただペーストしたファイルを並べています。
あっけなく行ってしまいます。白い壁際のグラジオラスをなくしたのは、いつの部屋でしょう。いつもさりげなくお別れです。
わたしが言葉を組み立てる前に、わたしが電車に乗せたわたしの向こう側が、ずうっと息の音を残して、がちゃんと連結された貨車になって行ってしまうのが見えます。
夏の服に着替えるのは命がけです。短い命を見る思いでわたしは夏を迎える。うしなうものたちを弔うのは、わたしが生きていないような原っぱです。
一年がすぎていく間に幾つもの弔いが堆積していくことでしょう。ペーストしたファイルは黙っているけれど。決して告げないけれど。
夜に沈む前に白い月をなぐさめます。
わたし、見ています、誰も泣かないで。
涙を擦る音がしたら、誰かが生きている証なのです。
わたしはここにいます。
ペースト
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