【声劇台本 男女】貴族の男と奴隷の女

メイロラ

■キャスト
 
貴族男
奴隷女


■本文


女奴隷:……え! ここどこ? なにこれどういうこと? 意味わかんない、え? こわいこわいこわい……

貴族男:あ、気が付いたんですね。よかった。あなたはずっと眠っていたんですよ。傷は手当しましたけど、まだ痛むと思うからゆっくり休んでてください。

女奴隷:あなたは……だれだっけ? ……あー思い出した。たしか、ご主人様が趣味で開いてる秘密クラブに来てた貴族様、よね……なんでここにいるの?

貴族男:ここ僕の家ですから。

女奴隷:は?

貴族男:あなたは僕が買い取ったんです。

女奴隷:は?

貴族男:勝手に話を進めてすみません。あまりにもひどい折檻を受けているあなたをみて、どうしても放っておけなくて……お金を積んで、どうにか譲っていただけました。地下室に迎えに行ったら、気を失っていたので、そのまま運ばせてもらいました。

女奴隷:……はあ

貴族男:もう大丈夫ですよ、酷い目にあいましたね。あんなに痛めつけられて、しかも折檻の様子を貴族たちの見世物にしてお金を取るなんて……あんなの、ひどすぎる。

女奴隷:……はあ

貴族男:でももう大丈夫ですよ。

女奴隷:……はあ

貴族男:もう安心です。

女奴隷:……はあ。

貴族男:僕が助けましたから。

女奴隷:……はあ。

貴族男:だから、もう大丈夫ですよ。

女奴隷:……はあ。

貴族男:あの

女奴隷:なに?

貴族男:……反応薄くありません?

女奴隷:そうかな?

貴族男:だってひどい主人から助けたんですよ。もうちょっとこう、なんというか。

女奴隷:ありがとうございます、なんてお礼を言っていいか、このご恩は一生忘れません!みたいな?

貴族男:そうそれ、そういうの無いんですか?

女奴隷:いや別に。むしろやっべー、まずいことになったなーと思ってるし。

貴族男:え?

女奴隷:前のご主人結構ましだったのに。馬鹿なのか折檻の方法がワンパターンというか、鞭で打つとか、棒で叩くとか、肉体的苦痛だけだったし、まあ、最近になって、爪剥ぐとか始めたけどさ。まあそれくらいなら……

貴族男:え、爪を? うゎ……痛そうじゃないですか!

女奴隷:いやいや、そりゃ痛いよ? でも、奴隷にとっちゃよくあることよ? 爪だけじゃなく、皮剥いだり、歯を抜いたり、焼きゴテ当てたり……

貴族男:いやーやめてくださいー聞いてるだけで痛―い!

女奴隷:痛いくらい大丈夫だって。もっときついのは精神的苦痛だから。そっちの拷問の方法聞く? まず暗い部屋に閉じ込めて……

貴族男:聞きません! 

女奴隷:あんた絶対ボンボンよね。かわいそうな奴隷助けたらめっちゃ感謝されて、めっちゃ承認欲求満たしてくれると思ってるんでしょ。ごめんねーそんな甘くないって。

貴族男:まあ確かに僕わりと大貴族の令息だから。生まれた時から、苦労ってしたことないですけどね。なんでも召し使いがやってくれたし。両親がなんでも買ってもらえたし? 大事に大事に育てられましたけど。

女奴隷:……でも性格はなかなか最悪だね。

貴族男:でもでも大事に温室で育てられすぎて、女性との接触がないことに気が付いた今日この頃。これじゃやばいと! ……でも、僕って大事にされすぎて内気だし、どうやって恋愛したらいいのかわからないし。

女奴隷:あー童貞なのね。

貴族男:そこで僕は考えたんです! 酷い目に遭っている奴隷なら、助けてあげれば、めっちゃ感謝してくれて、向こうから熱烈に好きになってくれるんじゃないかと!

女奴隷:あー馬鹿なんだ。

貴族男:なのになのに、全然感謝もしてくれないなんてーひどいよひどいよー! 君の元主人なんてめっちゃジジイだったじゃないか。僕の方が若いし、顔だって悪くないし、上手くすれば側室とか、なんなら恋に落ちて、親の反対を押し切って結婚するとかあるかもしれないじゃないか!

女奴隷:恋愛小説読みすぎよ。二次元での恋愛をしすぎてこじらせてるタイプね。で、どうすんの?

貴族男:……どうって?

女奴隷:私はもう用なしでしょ? 返品する? まあ今更無理でしょうね。始末してくれたほうが助かるんだけどなー。

貴族男:え、死ぬってことですか? なんでやっと助かったのに? なんでそんな簡単に言うんですか?

女奴隷:馬鹿なお坊ちゃまにはわからないでしょうね。生きてていいことがあるのは、人間だけよ。私たちは人間にカウントされてないから、神様の管轄外なの。またいろんな主人に売り買いされて、玩具にされるのいい加減めんどくさいのよね。またオークションにかけられるのも勘弁して欲しいわ。……ねえ、いいでしょ? 始末する前に、好きにしていいからさ。

貴族男:好きに、とは。

女奴隷:あんたのことだから官能小説こっそり読んでるでしょ? そういうことよ。なんなら、助けられて感謝にむせび泣く奴隷の演技もしてあげるからさ。

貴族男:……いや、それは、なんか違う。僕は単にそういった行為をしたかったわけじゃなくて、その……なんだろう、愛し合いたかったんです。

女奴隷:うわー痛ーい。自分は愛してないのにどうやって愛し合うのよ。

貴族男:それを言われると……めっちゃ愛されたら、僕だって愛せるかもしれないじゃないですか。

女奴隷:ホント馬鹿だね、あんた。

貴族男:うー

女奴隷:大体さ、どうせ貴族同士で結婚するんでしょ。その貴族令嬢と愛し合えばいいじゃない。めんどくさいことしやがって、迷惑な。

貴族男:確かに僕はハンサムな大貴族令息ですから? 僕と結婚したいって令嬢はたくさんいますよ? けど、なんか違うんですよね。彼女たちも僕と同じ。与えられて当然の生き方をしてきたわけで。僕を好きなんじゃない。僕の家柄とかお金とか綺麗な顔とかしか見てないんですよね。なんかむなしくなっちゃって。
そんなとき、君が貴族向けの秘密サロンで折檻されているのを見て、なんかビビッて来たというか。この子だー!!って。

女奴隷:何回も言うけど馬鹿だねー。与えられているものに満足しないで、ないものねだりしてるだけじゃん。

貴族男:……だってしょうがないじゃないですかー! 小説だと必ずこの流れで激しい恋に落ちるんですよ? 現実もそうだと思うじゃないですか! こんな性格捻じ曲がっている子は小説に出てこないし!

女奴隷:あ、そ。小説の話はもういいから。とにかく早くしてよ。決めてくれないと落ち着かないのよ。どうするの? 返品? 転売? 始末?

貴族男:しませんよ、せっかく買ったのにもったいない。しばらくここに居てください。

女奴隷:私は何をすればいいの? あんたの夜の相手?

貴族男:しなくていいですよ! いや、したくないと言ったら嘘になるんですけど。でも、君に単純に興味があるんです。さっきもいいましたけど、僕はね苦労をしたことがないんです。で、君はすごく苦労ばかりしてきたみたいだから。極端と極端で、一緒にいれば、お互いなにか変わるのかもしれない。だから僕に教えてください。君が今まで生きてきたこととか、見てきたことか。

女奴隷:精神的拷問の方法聞く? まず、穴を掘るように命令されて……

貴族男:いやいやいやいや……それは、そういうのは、ちょっと、時間をかけて少しずつ!

女奴隷:……なんだ

貴族男:信じてくださいとしか言えませんけど、ひどいことしませんから。

女奴隷:最初はそう言う主人もいたよ。まあ結果はこのザマだけど。……まあいいや、そういうことにしておいてあげる。あんた本当に世間知らずみたいだし。

貴族男:一応言っておきますけど、僕は、あなたを襲いませんけど、君から襲われるなら大歓迎ですよ? 僕、無理やりされて興奮するタイプですから。

女奴隷:いや、あんたの性癖知らないから。

貴族男:そう言えば、名前も聞いてませんでしたね。なんて言うの?

女奴隷:私もあんたの名前もしらないけど?

貴族男:そうでしたね。

女奴隷:名前は……
貴族男:名前は……


END

【声劇台本 男女】貴族の男と奴隷の女

【声劇台本 男女】貴族の男と奴隷の女

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  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-07-28

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