白線
学校の廊下には中央に白線が一本あった
だれも居なくなった、或いはひとけの無くなったであろうときを見計らって放課後の教室を忍び足の如く慎重に退室する
廊下は青から赤に染まり変わっていた
白線の表情が火照っているようにみえた
白線のうえを落ちないように平均台のように渡るのが流行っていた
わたしは無理矢理つれられてその遊びに強制参加させられていた
放課後
上履きで幾度となく踏まれ傷付き果てた白線と
最終下校時刻までお喋りするのが微かなたのしみだった
あのとき「たすけて」って
きこえたきがしたから
白線